鶴舞う形の群馬県

昨晩早く寝たら、快眠できて朝7時には目が覚めた。
煙草の臭いにも慣れてしまったのか(可哀想に)気にならなかった。

部屋で地図を眺めてルートを決め、朝食が簡単にあると聞いていたのでロビーに降りていくと、昨晩若旦那に受付してもらったときに視界の端にいた男性は彼の義理の父であり、先代の店主ということがわかった。
家族経営らしい宿の狭いロビーでロッキングチェアに腰かけた先代は、雇いの年配女性と友人のように会話しながら、あのバイクはトライアンフかと私に話しかけた。

良い方ではあったが、なんとなく高圧的なものを感じ取り、最後まで褒めておくことにした。
今から書くことは、感受性の高い旅人は共感するかもしれない。
くたびれた革ジャンとジーンズは、私を表す一側面に過ぎないと思っているが、世の中にはそれが全てだと見る人も多い。
多分私は彼に見下されていたのだろう。
コーヒーのお代わりを勧められたのでお願いし、彼が出掛けると一気にそれを飲み干した私も腰を上げた。
うん、まぁ善意の朝食サービスに免じて然るべきやり取りかもしれない。

どう立ち回る事で世の中が上手くいくか(自分の中で理屈が通るか)わかってしまうのもつまらない事かもしれない。
寿命の3分の1ほどをやり過ごしたいまの私は、図太い人間の方が人生を楽しんでいると確信しつつある。
だが彼らの楽しむ図太さは私の思う破滅、幻滅といったところだろう。

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雲のない秋空に救われる気分だった。
埼玉県を跨いだ先に、飛地のような群馬県館林市は存在した。
風が相変わらず強かったが、それを除けば川の土手はのどかで平和だった。
太田から館林に行く経路は、油断するとすぐ左折レーンや右折レーンになる道路が多く戸惑う。
いわゆる旅行者にやさしくない道路だった。
邑楽…という地名はなんて読むの、と思いながらたくさんの青看板の下を通った。

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近所で協力して稲刈りの始まった田圃の一角に南国の木が生えていたのが意味深だった。
しかし、秋の空はどうしてこんなに気持ちがいいんだろう。

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館林の駅前にあるうどん屋に来たが、私の目的のメニューは午後からの受付との事で、2時間弱の待ちとなった。
店員に時間の潰せる場所を聞くと駅の反対側にある日清製粉ミュージアムと言った。
駅の高架を登って降りていくと目の前は再開発工事中のようでほぼ更地だったが、駅舎の裏には立派な建物があった。
200円で見学できるそうで、以前から製粉のことをもっと知りたいと思っていたので迷わず入館した。

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一つ目の部屋には日清製粉の商品が並べられていた。
商品にはあまり興味がないので流す。

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小麦粉にまつわる知識を画面で紹介するコーナー。
他に誰も客がいなかったので、ひとつひとつつぶさに読み込んだ。

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画面にはイラストや振り仮名も入り、子供にもわかりやすいよう配慮されていた。
現代の日本で暮らしていると、米中心の生活を心がけていない限りは通常パンやウドンなどで、小麦を1日に一回は摂取していると思う。
それなのに無知すぎた、と思うほど初めて知ったことが多い。

例えば県別生産量。
一位はもちろん北海道だが、二位はなんと福岡県だそうだ。
寝耳に水。全く知らなかった。

日常なんとなく目にする大麦・ライ麦・燕麦(えんばく)の違いなど。
これらの違いを意識した事がないというのは、加工食品に慣れていて、自分の食べるものに興味がないという事だ。
他人と相対すると米よりパンが好きな人間だが、恥だと思った。

それと収穫量を何でも東京ドームに例える傾向はどうにかならないのだろうか。
東京ドームより1.5倍ほど大きい福岡ドームや、同じく野球チームの熱い名古屋ドームを擁する他地域の人は想像しにくいよ。

水車や風車、蒸気機関を利用してロール機を動かしていたこと。
もっと昔では、風を送って選別する農具でフスマを風選したこと。
ロール機と違い、石臼ではふすまも砕かれて選別しにくくなるため近代はロール機が発達した事。
ロール機の歯車は左右で回転速度が違うそうだ。
歯車はミクロン(10のマイナス3乗ミリ)単位で隙間の調整をするそうだ。私の専門ではないが工業製品の質の高さをうかがい知る。
粉末になった小麦は、シフター(ふるい)に掛けられるが、これは天井からしなやかな素材で吊られている。
どういう仕組みで動いているのかと思ったら、おもりの偏心で動いているそうで、これは携帯のバイブレーターと同じ機構だそう。
中身は単なる積層ふるいである。
単純な仕組みの方がメンテナンスが簡単でいいと思う。

また、パスタの種類で聞くセモリナは粗い胚乳のことだそう。
こうしてふるい分けされた粉末は、ピュリファイヤーで吸い上げ、空気の力で搬送される。
完成した小麦の粒は1〜200ミクロン。ちなみに比較で同単位のもの、髪の毛直径は70、スギ花粉は20、PM2.5は2.5だそう。
ふすまは主に人間の食べるものには含まず、家畜の餌となる。

色々知ったが、単純な機構の機械に日清製粉以下の何万人もの社員が支えられているんだなと感心した。

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施設を見渡しても相変わらず他の客はいないが、入場料の割に見応えがあった。

中でも面白かった展示方法が、選んだフィギュアを指定位置に置くと映像が流れるもの。
普通にボタン選択式でないところが凝ってるなと思った。
手話付きの映像なのも珍しかったし、工場の流れ作業の動作は袋詰めで揺れている動作はかわいいところがあったり、かっこいいと感じた。
子供に訴えかける仕組みにしてあるのかもしれない。

単純な機械でさえ、戦前はドイツ・アメリカ製の機械が優れていたみたいだ。
日本はやはり戦後から産業が始まったに等しい。

さらに施設を移動。
本館では日清製粉の起源を中心ビデオ学習できるのはいいが、座れなくて少々辛い。

1900館林製粉 正田貞一郎の話。
日清製粉の初代社長は横浜の旧日清製粉を吸収合併。
館林は小麦の生産地として東武とともに発展したのね。
鉄道の起源は輸送したいものの生産とともにある。
アメリカの効率、ヨーロッパの品質管理に感銘を受けた彼は吸収合併しながら国内の業務を拡大。
横浜・鶴見工場が東洋一の規模を誇ったとか。
戦後食料危機を乗り越えるため小麦を輸入、生産能力を回復して危機を救うため奮闘とあったが、なぜ生産力が低迷していたのだろう?
1949昭和天皇が鳥栖工場へ。
フジパン・神戸屋・ヤマザキなど私たちの知りえる製パン業者も登場。

1960年代にインスタントやレトルトが登場したそうな。
正田一族の典型的な世襲、とあるが皇后美智子妃は正田一族出身だったことを、私たち以下の世代は知らない人のほうが多くなっているかもしれない。
今いるここは、旧工場本館の部材を用いて建造されたそうだ。
しかし見学していても冷える。早く昼食にしたい。
もういい時間だったので切り上げて(記念品のお好み焼き粉はしっかり貰う)駅の反対側に戻った。

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名前を告げてあったので、店頭の行列をかわして着席。
もちろん注文は鬼ひもかわ 冷 麦豚 ¥950
平日だったが昼間は忙しいらしく、店員の女性がせわしなく動き回っていて慌ただしい。
うどんについてだが、薄くて平たい麺はもちろん、麦豚がむちゃくちゃ美味しい。
半熟卵と出汁を絡ませて食べるとうどん界の頂点級の一品となる。
麺を噛むのにあごの力が必要だが、持久力が尽きたところでちょうど食べ終わった。
好物しか入っていない丼で、この旅一番の大満足な食事だった。

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近くに菊竹清訓作の館林市民センターがあるそうなので見学に来た。
今日は秋晴れで本当に爽快。
館内を見させてもらったが、高齢の男女の社交場になっていた。
バイクのそばで青空をバックに写真を撮っていると、気をつけてとおじいさん。

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引き続いて宇都宮のWさんおすすめ、茂林寺。
こちらは参道両側に大量の狸がいる。
日本昔話の分福茶釜で有名な寺だそうだ。茶釜が今も収められているらしい。
茶釜キーホルダーの作りが細かいので購入。
参道の狸には端切れを用いた手作りの着物が着せてあり、写真右手には菊の花直売会ふうな催事がやっていたので地域密着型のお寺という印象を受けた。
狸のほとんどは温厚そうな顔つきをしていたが。
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怖すぎるんですけど・・。

出発後再び高崎方面を目指す。
群馬発祥のコンビニ?セーブオンにて休憩。
日本一周の際、新潟のキャンプ場そばにあったのを思い出し嬉しくなった。
ドリンクを購入するときに「セーブオンってどこのコンビニなんですか?」と店員に尋ねると、「群馬のコンビニですよ(複数人で嘲笑)」という対応をされたので聞かなきゃよかったと思った。
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オレンジハットというドライブインに寄り道。
チェーン店のようだが、看板にもかなりの年季が入っている。

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オレンジハット茂呂店。
この構図を見たら思い出すかもしれないがゲームの景品は大人のDVDなどだった。
嗚呼、そっち系ドライブインでしたか。
すれ違う客と目が合わせられない…。

精神的に萎えてしまったのと、走行中、チェーンから異音がすると思いバイク屋を検索して立ち寄る。
店主に軽い調整をしていただき調子が戻った。
店を営んでいるご夫婦に福岡から長距離旅行中と告げると、心配してくださりツーリング情報をたくさんもらった。
近日行くつもりの赤城の道路は、凍結が心配だったがまだ大丈夫だそうだ。
コーヒーやお菓子をご馳走になってしまったのと、今後の走行に備えてワコーズチェーンルブ¥1600を購入。
とても良くしてくださりバイクの調子も最高。群馬の印象は持ち直した。
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犬の散歩をしているところを、夕焼けが低く照らしていてとても印象的だった。

以下のドライブインにも立ち寄ったため別ページを作成。
自販機食堂
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宿は再び高崎。
宿の地階は駐車スペースとなっていて、車両にかかる雨や夜露を凌げるため地味にありがたい。
主人は40~50代の男性で、少し前までバイク乗りだったらしく嬉しそうに一緒に地図を見ながら話してくれた。
位置は昨日と同じようなところに取ったのだが、部屋の構成が全く一緒だったので驚いた。
バブル期に一斉に建てられたチェーン店が廃業して別経営になったというところか。
煙草臭くないだけ今夜は幸せになれた。

走ったルート(不定期)
ビジネスホテル→r17→r50→r17→k276→農道→k314→日清製粉ミュージアム→館林駅花山うどん→館林市民センター→分福茶釜の茂林寺→r354→k14→オレンジハット茂呂店→二輪店→k24→k142→自販機食堂→r354→ビジネスホテル


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# by aroundjapan | 2018-02-13 15:11 | 2017 バイク旅 | Comments(6)  

ドライブイン七輿

2017年現在、少し前にNHKで放映されたのをきっかけに、ドライブイン・自販機ブームの波が来ている。

九州地方にはほぼ現存しない(2016年鹿児島では一機実働)ため、私と懐かし自販機とのインターネット上での出会いは、20歳を過ぎた頃。

当時、某懐かし自販機のサイトで存在を知った群馬県のドライブイン七輿だったが、ついにその地を踏むことが出来た。
某サイトではその頃より現在に至り、日本各地で繁栄した自販機を廃業そのときまで愛でるべく、経過観察のごとく粛々と更新が続いている。

そんな、懐かし自販機・ドライブインの聖地と言っても過言ではない群馬県の占めるシェアは全国に点在するもののうち2割弱!

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一発目から感激の嵐。
到着したのは冷え込み始めた夜だったが、孤独に輝く電灯が数十年前より看板を照らしている。
シャッターを押しながら、この記事を書けること、そして数日間の充実した群馬ライフを約束されたようでにんまりしてしまう。

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入り口側外観。
ネオンがいかにもドライブインという印象。
パチンコ屋でさえも、こういった種類のネオンは現在では使用している店が少ないので懐かしさに駆られる。

しかし、思っていたのと違うなぁ。
広い駐車スペースの奥まで歩いてみる。

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あぁ、これだ。
この看板を見てここに憧れたんだ。
残念ながら、インターネット上で見ていた当時の看板より随分色褪せてしまっていた。
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入店してみると先ほどの赤看板のスペースは事務所になっているそう。
群馬ローカル的には、懐かし自販機の聖地であることを自覚し最近まちおこしに利用しはじめた・・という内容の新聞記事などが貼られていた。

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店のステッカーを作ってみたらしい。
私のようなマニアの記念来店向けのはずだが、どうにもデザインがしっくり来なくて購入に至らず・・。
トラック用なのか、やけに大きいし。

下段にはかわいらしい包装を施されたラベンダーまくら(?)
長距離トラック運転手に癒しを提供したいといったところだろうか。
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こちらにもラベンダーのポプリ人形、手作り七ちゃん地蔵。

私「う、うん・・・」


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店内節電のためか暗い。
室内照度に比べ、やたら自販機のパネルが発光しているため近くに寄らないとなにを販売しているのか分からない。
大きく、左からカップヌードル・ドリンク・女子トイレを挟んでハンバーガー・トーストサンド・男子トイレを挟んでカップヌードル・うどんそばラーメン。

店構えの割りに自販機台数はこんなものか、といったところ。

自販機とか何かよりとにかく言いたいのが激しくショ×ベン臭い。
これはホカホカした汁物を食べることは体調をよりスムーズに悪化させることになりかねん云々と直感で思ったので、一つだけ選んで軽く食べてお暇しよう。
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よりによって男子トイレ横の下部から排出されるトーストサンド(ハムチーズ)選んでしまった。
シチュエーションは底辺であるが、トーストサンド機初体験なので嬉しい。
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卓上の調味料類にもいちいち、給食当番のエプロンのように名前が入っていて和む。

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温まったアルミホイルブツが男子トイレ横の下部より排出された(強調)
このままだとぺしゃんこ過ぎて食べ物には見えまい。

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室内も寒いのでインナーグローブを着用したまま捲る。
なるほど、こんなものね。
230円の割にたいしたことは無い。インスタ映えなんて、もっての外。
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味も普通。温められているのでその点は口に嬉しい。
決して人に薦められる食べ物ではないが、興味のある方は是非どうぞ。
文句を言いつつも、九州から来て食べている変態は私です。
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ゲームにはあまり興味が無いのと、先客が何人かいたので見ずに退店する。
ネオンとW650を記念撮影していると、窓ガラス越しに怪訝そうに私を見つめる男性が居たが、私は構わず撮影を続けた。

(完)



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# by aroundjapan | 2018-01-15 15:38 | 2017 バイク旅 | Comments(0)  

群馬へ

10月の終わる頃、幾度となく襲った台風もようやく過ぎ去り空模様が好転。
東京を出ることになった。
正午に都内でガソリンを入れて西東京、田無タワーを眺めながら東村山などを通過。
W650で東京に来ることは暫くないだろう。

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飯能あたりで休憩。
都内からもうだいぶ離れた。気温が徐々に下がっていく。
299号を、里から山に入る直前の公衆トイレに立ち寄る。

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調べておいた、お食事処 昭和という店の秩父名物わらじかつを頂く。
正確にはこちらの店は秩父ではなく、小鹿野に位置しているが、わらじかつは両地共通のB級グルメなのだと思う。
すでに正午から4時間ほど走り、陽も傾き始めたので腹ペコだ。

バイクを駐車していると「すぐそこでいいよ」と、のれんから顔を覗かせる慣れた様子の年配女性。
ライダー客も多いようで、店内の壁にはツーリングチームなどの寄せ書きが多数貼り付けられている。
地元民と思われる女性の先客がいたが、体が冷えていたのでストーブの前で当たらせてもらった。
赤く燃焼している筒に反射板が張られているタイプで、古風なやつだ。
ここらはもう秋から冬に変わり始めている。


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わらじかつの基本は、飯の上に甘いたれに漬けたかつが載っているスタイル。
野菜などは挟まれていない。ただそれだけ。

こちらの店では、わらじに確り鼻緒が付いていて洒落ている。
他の店のわらじは全部裏を向いているのかもしれない。

わらじかつと言うだけあって、大抵どの店も器を隠すほどバカでかいカツを提供するわけだが、こちらの店は肉は薄くしてあるので女性の私でも完食を遂げるために死ぬ思いをせずに済む。
味噌汁は美味しかったが、味が濃いので残してしまう。
メインディッシュのたれが濃いので味噌汁は薄くして欲しかった。
漬物も薄味でお願いしたい。全部が辛くちゃ早死にしちまうよ。
なんだかんだと書いてもカツだから好きなのである。

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小鹿野は二輪を用いて街おこしをやっていたそうで、それは私の耳にも入っていた。
しかしそれも10年ほど前の話なので現地はスッカリ閑散としてしまっているのだ。
町おこしの中心地であったらしい、モトグリーンGというカフェに立ち寄るも16時過ぎには閉店していた。
誰も停めていない屋根付き駐車場にひとり佇むW650。

小鹿野町を出るとまもなく群馬県に入る。
この道中は空腹に飯をかきこんだ為か、物凄い眠気に襲われてなにも覚えていない。
気がつくと、日の暮れかかった関東平野奥地-つまり群馬県の入口-に居た。

河川敷のキャンプ場に入ってみたが、よくわからず自転車道に迷い込んでしまう。
最近は全く整備されてない様子で、自転車道に落ちていた夥しい数の銀杏をW650に踏ませてしまった。

17時半に暗くなり始め、18時には日が沈んだ。
烏川の土手の上で夕日を見届けると同時に身体は震え、とうとう野営は諦めることにした。

コンビニのカフェスペースで休憩と夕飯。
気温が低くなったので暖房の効いたカフェスペースはとても有難い存在。
W650のタイヤを見ると潰れた(潰した)銀杏で真白くなって、すでに異臭を放っていた。

今回の旅は群馬と長野がメインのつもりだ。
群馬に来た理由は私と趣味が似ている人はおそらく予想がつくだろう。
群馬は貨物トラックの中継地点となっているのか、多くのドライブインが存在し、2017年の現在も実働の店が多い。
その数は日本一で、群馬県は言うなればドライブインの聖地である。

ということで、インターネット上で見つけて10年以上前から憧れていたとあるドライブインに出かけた。

画像が多いので別記事にする。
ドライブイン七輿
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今日は長時間走行し、そろそろ一人でゆっくり寝たかったのでビジネスホテルを取った。
室内はドライブインに負けじと昭和の香りを多分に残していた。
というか煙草臭かった。
安いプランで部屋は選べなかったので喫煙室になったが、暖房をつけるとフィルターに集積した煙草の臭気が充満し吐きそうになった。
ベッドカバーの上には糊のついた寝巻きが畳んであったが、見た瞬間ベッドの隅に放り投げた。

宿はそれほど混んでなさそうだったので、私のような女性一人客には通常禁煙室が空いているなら声をかけてくれてもいいのに・・と思ったが、価格に免じて我慢しよう。
10月の終わりで、布団を被れば耐えられるほどの寒さなのでさっさと寝る事にした。
ふと見たドライヤーは昔自宅で使っていた物で、90年代初頭のものだった。

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用途不明な物掛けがあったので着ていたものを全て掛けてみた。
壁紙のデザインはもはや昭和を通り越して大正趣味的だ。


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# by aroundjapan | 2018-01-07 08:27 | 2017 バイク旅 | Comments(3)  

東京逗留記#3

雨降りなので電車を使って散歩することにした。
普段から街歩きは嫌いではない。
東京は住んでいた時期に方々へ出掛けていたので、必然的に行ったことのある場所が多い。
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東京大学駒場キャンパスの隣にある、日本近代文学館へ。
意匠に凝っていて、有名建築家作に思えるが違うらしい。

初めて訪れたのは5年ほど前。
ここにはミュージアムショップならぬ、文壇コーヒーという店が併設されている。
当時はまだ開店して日も浅く客も疎らだったが、昨今こういった変わり種カフェは人気があるらしく、店内席は混み合っていたためテラス席にする。

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施設名称を裏切らない、一々文学作品に因んだメニューになっている。
今回注文したのは林芙美子の放浪記より、牛めし十銭。
2017年の物価ではランチセット1150円とのことで、セットのコーヒーも選べる。


牛めしはゴボウの入ったすき焼き風で、半分ほど食べた後さらに卵を溶き入れる。
大根の酢漬けもしっかり味が付いていて美味しい。
味噌汁を探るとアオサ、さらにかちゃと音を立ててしじみの縞模様が見えた。
青森で食べたしじみラーメンのシジミと比べると、箸でつまめないほど小さいが出汁はよく出ていた。


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コーヒーは“日本人が最初に飲んだと言われる”寺山ブレンド(エチオピアモカ、もちろん寺山修司に拠る)にしたが、酸味と苦味の二極という感じで、現代のコーヒーに慣れている私にはとても美味しいと思える代物ではなかった。
よくよく考えるとブレンドはいずれも近代文学全盛、つまり日本でのコーヒー文化の発達以前であったはずなので、次回は無難そうな、何にも因んでいないロイヤルミルクティあたりにしたい。

テラス席には私の奥に一人で読書しつつ喫茶を嗜んでいる男性がいたが、その向こうにいる5名ほどの集団が騒がしかった。
文学館付属のカフェであるのに、その趣旨を解さない大声で話す男女の軽薄さよ。
私の食事と同時に集団は終わって帰って行ったが、顔を見て私より年齢は上とわかり軽蔑した。

カフェで会計すると以前はなかったグッズがいくつも売られていた。
全然欲しない品物だった。
近代文学資料館が2階にあるので見てみようかと思ったが、書籍の閲覧が主で入館料もかかるのでならば移動しようと思う。
ちなみに近代文学館の起こりは、有志による近代文学資料の収集と保存だそうだ。

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私鉄を使って豪徳寺へ来てみた。
雨のせいか、塀の周りがションベンくさい(言い得ているのであえて汚い表現を使う)
境内は意外にも広く、紅葉が綺麗だった。

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豪徳寺といえば招き猫。
謂れを探りたいのだが、有料の展示室の中にあるのか、どうして招き猫が有名なのか結局わからなかった。
個人的には興味が無いので放っておく。

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招き猫が沢山いるのが“インスタ映え”するとかで、雨の中傘を差してまでショ×ベン臭い寺に若い女性が何組もひしめいていたのが異様だった。
そういう具合で、有料の展示室を見る気分も起こらず寺を後にする。

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周辺に金魚を大量に繁殖させている民家があったが、まさか招き猫の餌になるのか…。

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世田谷の住宅街を歩くのは異世界的で楽しい。
世田谷には驚いたことに城があったそうだが、その名残か、道幅が前時代的に狭いまま。
限られた敷地に大勢で一軒家を構えているため、日照や騒音問題…マンションで暮らすよりももっとルールが厳しそうだ。ここが仮に東京都でなければ、空気の入れ替わりのない閉鎖的な町であろう。
戦後も田んぼが多かったらしい世田谷区は、家を建てた世代が一気に年をとって地区活動が成り立っているのか、チラシの貼られた掲示板を見ていると心配になる。
やはり維持や税金・世代交代の事を考えると、人口減の我々世代は一軒家を容易に所有できない…などと思う。

画像の、一軒家に置いてあった家庭用の立体駐車場。
小型の物は初めて目にしたが、製品として販売されていたのだろうか?実働するのだろうか?

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突然緑道が出てきて不審に思い調べてみると、昭和初期に暗渠化された烏山川だった。
地図上で辿ると、上流は千歳烏山や八幡山あたりから来ているのでその辺りは地名に現れているように昔小高い山だったのだろう。
下流は桜で有名な目黒川に合流しているようだ。

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夜は2日連続で横浜へ。
一人で中華街へ来るのも2日連続だった。
弟と夕飯の約束をしたので待つつもりが、誘惑に勝てずエッグタルトを食べてしまい食欲を刺激してしまった。
エッグタルトは180円の割りにとても小さかった。
甘いものを食べたら塩辛いものが欲しくなる人間の性。

中華街に一軒だけ見つけた、ねぎパイ¥200 
数年前に蘇州の道端で買って食べた。現地では熱くなった鉄釜の内側に生地を貼り付けて熱していた。
まさしく小麦粉の焼いた物の味。
目の前で焼いてもらい、ほのかな塩味がして美味しかった。

自然と足が動き、今度はゴマ団子を購入。ビニール袋に入れてもらう。
もう食べてはいけない。

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弟とは、ベイスターズのお膝元で待ち合わせた。
私は関内に行きたい店があったのだが、弟も行きたいとの事で連れて行く。
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こちら、宮崎県日南出身の歌手・鬼束ちひろの弟が開店したラーメン屋。
一応、分類としては鶏白湯豚骨ラーメンという事だがその時点でよくわからない。(すでに一種類になっていない)
さらに味を選べるという事で一番スタンダードそうな醤油に。
700円と言う値段は、豚骨ラーメンとしてはギリギリ許せる上限だが、東京(横浜)にしては割りと安価。

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鬼束ちひろファンと伝え、宮崎に住んでいた話をすると、気さくな弟さんはとても嬉しそうに話してくださった。
さらに姉の鬼束ちひろがコラージュした、というステッカーを差し上げますとのこと。
差し出されたジャックオランタンの容器から選んで、弟もなぜか貰い喜んでいたところラーメンは運ばれてきた。

ラーメンの味は濃厚ではあるが、名前から想像するよりもずっと食べやすかった。
たまに鬼束ちひろも訪れるそう。
美味しいので近隣の方は是非どうぞ。

麺創 蛍(ほたる)
〒2310011 神奈川県横浜市中区太田町中区太田町2丁目 2-26 トーホービル1F
045-264-8707


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# by aroundjapan | 2018-01-05 07:26 | 2017 バイク旅 | Comments(0)  

東京逗留記#2


昨日停めた駐輪場は、21:00~9:00まで夜間最大300円。
弟の家から歩いて行ける範囲では最安。しかも支払いにクレジットカードを使えるのが嬉しい。
今日は一日予定が入らなかったので、都内のカフェめぐりと横浜に行くつもりだ。

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まずは去年立ち寄らせて頂いたハンバーガー店で昼食。
店主に近況報告など。
店内のインテリアが、アメリカンヒストリーXに出てくるセットのようで格好いい。
レタスなんて挟まない潔さが素敵。

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横浜まで行き、本牧の店で服を購入すると「ハッピーハロウィン♪」と言いながら渡された飴がプラナリアにしか見えない。

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本牧をさらに下る。
中学生の頃からクレイジーケンバンドを好きな私には横浜は特別な地。

彼らが度々訪れるというピザやホットドッグが自慢のこの店、カプチーノはイマイチだった・・。笑



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赤レンガ倉庫の駐輪場に停め(関東には珍しく無料)、馬車道を歩く。
馬車道は地名ではなく愛称で、1920~1930年代の建物が多く軒を連ねる。
通りの商店街付近では街づくり協定を交わし、景観を守っているようだ。

都内在住時は、前述の通り横浜が好きで少なくともワンシーズンに一度は訪れていたが横浜スタジアムより西側をじっくり歩くのは初めて。

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横浜ベイスターズファンと言えば、都内で働いていた頃、横浜出身の同僚が私の持ち物にキャラクターのシール(ホッシーと言うそうだがもう居ないらしい)を貼っていたのでその愛着を感じていたが、敵地を踏んで地元の熱量を知る。
・・というのも、福岡ソフトバンクホークスと横浜ベイスターズは2017年の日本シリーズとやらで戦うらしい。
私は野球に関心が無いのでよくわからんが。


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人口400万弱の市にしては随分ボロイ、それに小さい横浜市庁舎。
それもそのはず、昭和34年に建てられたものらしい。
当時の人口は市のHPによると125万人で現在は約3倍。
歴史ある建物だが時代に沿っていないため、新市庁舎は馬車道駅そばに建設中で平成32年に供用開始らしい。


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日本大通りの名前の由来が以前より気になっていたが、江戸末期の大火災を経て、防火帯を兼ねた旧外国人居住地と日本人街を区別する街路として整備されたものだそう。
当時の日本の土木技術は夜明け前。
R.H.ブラントンというスコットランド出身の建築家によって設計されているためか、日本大通という呼称に反して純ヨーロッパ風の景観をしているのが滑稽だ。
彼の名前に聞き覚えがある人が居るかもしれない。
実は彼、ライダーには馴染みのある灯台の設計に数多く携わっている。

街路に落ちた銀杏の実はそのままで汚くなっているのが常だが、ここは市が力を入れているのか綺麗に掃除されてるのが印象的だった。

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関東大震災の復興シンボルとして建てられたアールデコ調の旧横浜商工奨励館。
ここでまた”日本大通り”という名がよぎる。
近代化のために、まずはヨーロッパの真似事。中国や韓国のパクリ製品をバカに出来ないかもしれない。

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こちらは中華街の関帝廟。
向かいの建物でクレイジーケンバンド、横山剣さんの母親がお店に立たれている。
中華街に来ると毎回顔を見に来るのだが、私が初めて来たのは6年前で、当初と比べると随分痩せられていて心配になってしまう。
長生きしてほしい。
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日が沈んだので夜景を撮影してみるも、撮り方がよくわからない。
満足したので都内へ戻る。

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夕飯はハンバーガー屋でおすすめされたカフェにお邪魔してみた。
店主の方もきさくで、初めて店を訪れた私にバイク乗りのほかのお客さんも話しかけてくださり楽しいお店だった。
東京にはこういったカフェがいくつもあって楽しい。



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# by aroundjapan | 2018-01-03 07:24 | 2017 バイク旅 | Comments(0)