軽井沢から浅間へ

目覚めは最悪。
久しぶりの野宿はやはり私には堪えた。
夜中3時頃まで上手く寝付けず。
ヒト気のない付近を若いふうの男性も車中泊なのか、うろついていたので落ち着いて眠れなかった。

夜が明けたら大人しく撤収し、バイクの露を拭き取る。
空を見上げると、そんな私とは裏腹の快晴。
素晴らしい一日が始まりそうだ。

まずは県道33号を抜けて18号へ入る。
榛名山の麓はこれと言う特徴は無いが、走り回っていて飽きない。
ここでバイクに乗らない事は、宮崎でサーフィンしないのと同じぐらいもったいないことに思える。
横目に見た峠の釜飯屋は、W650と初めて長野へ出かけた時にサービスエリアで出会ったものだ。

鉄道遺構の碓氷第三橋梁へ。
仕事関係の書籍で知った近代土木遺産であり、国の重要文化財でもある。
樹木の葉が風に舞う。

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どうしても煉瓦造の橋梁とバイクを写真に収めたくて、第六橋梁の黄色い絨毯まで。
落ち葉はそれほど積もっていなかったが、この先道路にも何箇所か見かけた。
落ち葉は氷上より摩擦係数が低いらしいので注意して進みたい。


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朝食は軽井沢のベーカリー沢村へ。
偶然の3連休で秋の軽井沢を楽しみに大勢詰め掛けているが、構わず防寒着で中へ。
8時半頃だがすでに駐車場も満車で、バイクは停めさせてもらえた。
店内行列しているため10分以上立ったまま待つ。

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テラスに案内され今までの人生でも朝食にしてはかなり高価、沢村のモーニング。

皿にバターらしきものが入っている。
ベーコンがさっぱり塩味で美味しい。
肉厚で、味の濃い鶏肉のような具合だった。
パンの真ん中にサンドして食べてみた。

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軽井沢は元々都内に住んでいる時に訪れて好きになったが、2017年放送の某ドラマの影響で秋の軽井沢をもう一度走りたくてうずうずしていた。
ドラマに出てくる軽井沢駅。
当然、こんな私だから公共交通機関で軽井沢へ来たことはないが…。

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一人で行動しているとどうしても行動が早まきになってしまう。
と言うわけで、10時には渋滞気味の国道18号から千住博美術館へ到着。(内部撮影禁止)

金沢21世紀美術館で知られる建築家・西沢立衛の設計したコンクリート打ちっ放しのレベルが定まっていない空間を楽しむ。
かなり傾斜が付いていて、地面の高さそのままらしい。
床スラブ面は手で均した跡が見えるけど、地山のままだからだろう。
クラックが入って来ていた。
中央に植栽された中庭があり、間接的にやさしい明かりが差し込んでいた。
天気がかなり良いので、所々直射日光が照らしていたが絵画保護用に一応カーテンはしてある。
床にアルミの、客をなんとなく誘導しているようなラインが入っていた。

全体に筆を用いた、自然の持つ一瞬の勢いを静かに表現したものがメインであった。
赤坂サカスの陶板画の原画もあり、大振りで迫力があった。
タッチの明快な作品もいいが、ここにある作品はいくらでも観ていられるので好きだ。
中でも 光 という作品が良かった。
見ている間、光と闇 朝と夜 空と海の混沌を漂う気分がした。

星の降る夜に という絵本も館内に置いてあり、表題通り物語の舞台は子供の知らない夜の世界。
幼い頃にこういう情緒豊かな絵本もあると心に残るだろうなと思う。
小さい女の子がワンピースの裾を広げて満点の星空から落ちて来る欠片を拾う…という絵本が家にあったが、群青の空に黄色く輝く星の色使いが綺麗で好きな絵本のひとつだった。

館内のインスタレーションとして、映像作品の展示があったがこれも良かった。
一つの絵画をプロジェクションマッピング方式で見せ方を変えて進展していく。

途端に暗転した悲痛な弦楽器の音に合わせてゆっくりと四季が変わる。
静止しているはずの滝の絵画は、本当に飛沫を上げているようで、晩夏 などの朱が鮮やかな作品との色彩感覚や時間的感覚は日本の四季が上手く表現されていて見事であった。
インスタレーション自体の演出者も、作品の見せ方をよく理解されていると感じた。
飛沫は実は、筆を横にたくさんくっつけたような道具で描いているそうで、作品は道具によるものではなく魂によるものだなぁと強く感じた。

こちらの施設は軽井沢のパンフレットで何度か目にしていて、知らない画家と敬遠していたが一気にその世界に引き込まれた。
作品と建築物見学の意味で2度、いや併設された浅野屋のパンで3度美味しい美術館なので是非軽井沢に行かれる際は立ち寄ってほしい。


と言うわけで、パン屋に入ってしまうと買わずにはいられない。
かなり奇抜な屋根のパン屋だが味は普通に美味しい。(上写真)

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渋滞にすっかり巻き込まれながら辺りをうろつき、旧軽井沢銀座のあたりまで戻ってミカド珈琲へ。
外車に乗った年配の男性達のツーリングの道向かいに孤独に停めて、モカソフトだけ買って食べる。
変な女だと思われていようが、今が楽しくてしょうがない。

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すっかり昼時だ。
ドラマのメイン舞台となっていた煙事へ。
勧められるがまま、チーズスティックを賞味。
パンにチーズが挟んであるのかと思ったら、パンよりチーズが多かった。
自転車で日本一周を経験された方が接客してくださった。
現役でシェルパに乗っているそうで、ここらももうじきバイクは冬眠でバッテリーを外したりするそうだ。面白い。

旧軽を北北西に行けば、三笠→峰の茶屋、白糸ハイランドウェイを走る。
そのまま峰の茶屋→鬼押出し 鬼押しハイウェイへ。
一度走って一生忘れないぐらいの個人的最高ロードだ。

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茶屋はドライブインのようになっており、昼御飯がわりに浅野屋のキッシュを食べる。
すぐそこに浅間山。
陽射しは目に眩しく、風が通り抜ける。
今ここに、私より五感で軽井沢を味わっている者が他に居るだろうか!

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雄大な活火山である浅間山の麓には、浅間記念館というバイクの博物館がある。
戦後に恐らくバイクが庶民の手の届くものになる寸前、ここでバイクレースが多数行われていたらしい。
そのメンバーによる思い出箱らしき博物館の気配だ。

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メグロ500K1P 白バイは初めて見た。

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ヤマハTZ350 1973年のものが強烈にカッコ良かった。

貴重な二輪をたくさん見ることができる。
やはりメグロ、カフェレーサーあたりに目がいってしまう。

館内には管理人の方が一人、陸王プロトタイプRX750が堂々と飾られていた。
キックペダルが自転車タイプ、エンジンフィンが松ぼっくりみたいになっていて面白い。
BSA旧車やカワサキ目黒K2が実走行する貴重なフィルムに見入ってしまう。
W1Sのステアダンパーは面白かったな。

火山記念館?なども併設されているが、施設全体が閑散としていて寂しい。
バブル期に開発されたであろう負の遺産のにおいが…

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昨日走った浅間牧場茶屋まで一直線。
自然の中にいるのに、人間の手の入った雰囲気がどこか異様である。
国道146(通称日本ロマンチック街道)を北上する。

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陽が傾き始めた。
次の目的地はこの道路の先だ。

しばらく進んでいくと、視界は開けていき高原と呼べる大地へ出てきた。


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つまごいパノラマライン。
あまり大々的に宣伝されていないため、今までは、どこがそれなのかわからず足を踏み入れたことのなかった土地だ。
キャベツ畑の黒い土が道の隣にある。
と言うよりは、キャベツ畑の中に網の目のように敷かれたアスファルトを走らせてもらっている感じだ。
土や草、どこから来たのかわからない水を巻き上げながらゆっくりあてもなく走る。

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見渡せる範囲で最も高そうな地点から低い位置を眺めると実に気持ちがいい。
矛盾しているが、限りなく空に近い盆地だった。
気に入ってしまい何度も何度も背景を変えて写真を撮影していると、トラクターが忙しそうに走り回った。
自動車は居ないのにトラクターが何台もいた。


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バラギ湖に出て釣りを楽しむ人々を眺める。
地元は海が近いため、湖なんて小さい頃からほとんど行った記憶がないし、行く理由もよくわからないが群馬県民には行楽と言えば湖なのかも知れない。

その後はどこに行こうかなと考え、とりあえず近場で風呂を済ませることにした。
子供を連れて来るらしい複合施設にある温泉は、北軽井沢の別荘地近く。
足の踏み場もないほど子供が走り回る温泉だったので寛げず、早めに上がる。
施設の周りは私有地の立入禁止区域が多く設定されているので、脱出するのに同じ道を何度も行き来し骨が折れた。

すっかり疲れながらも、群馬県は堪能したので長野の国道18号へ出ることにした。
18号を北上していると、今回初めての新潟ナンバーを目にした。
去年日本一周をしていた時の高揚感が蘇り、錯覚してしまいそうになる。

空腹を抱えながら向かったのは千曲のグーギーズカフェ。
以前からアメカジ系雑誌などで目にしていた店でアメリカンダイナーを期待して来てみたかったのだが、入店するとそれほどこだわりの店内と言うわけでもなく拍子抜け。
どちらかというとカントリー系のインテリアだった。
注文したのは、ジューシーで箸を入れたら肉汁がしみでるハンバーグだったが、こちらもそれほど特徴のない割に値段が高い印象だった。
必死で長所を探してこの結果なので長野北部の物価は、私が思っている以上に高いのかも知れない。
それとも、移動距離を考えて千曲に来たが本店の長野へ行った方がよかったか。

これ以上北へ行くつもりはないので、南下し上田にて給油後ネカフェ就寝。

上田市と言えば真田丸だが、21時ごろのこの街はノーマルマフラーのW650で走るのさえ躊躇われる程、眠れる街であった。
私も深く眠ろう。


走ったルート
道の駅くらぶち→沢村旧軽井沢モーニング→軽井沢駅→千住博美術館→煙事→ミカドコーヒー→白糸ハイランドウェイ→鬼押しハイウェイ→六里ヶ原休憩所→鬼押しハイウェイ→K235→つまごいパノラマライン→嬬恋村→バラギ湖→k112→k235→奥軽井沢温泉ホテルグリーンプラザ軽井沢→r144→r18→千曲→上田

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# by aroundjapan | 2018-04-01 01:08 | 2017 バイク旅 | Comments(4)  

群馬入り4日目

最近会社員に戻りましたので更新が遅れていてすみません。
書きたいことは沢山あるが時間がない。
——

今朝はみなかみより南下した前橋市街地にて目覚め。

山奥に泊まりたくないので、安宿がわりのネットカフェはありがたい。
起きて30分もしないうちに走り始める。
群馬は県人口が200万人もいないのに、群馬・高崎・前橋ナンバーと3つも存在するのは何故だろう。
一人当たり所有率が高いのは間違いないだろうな。
そして高速道路ルートで都内から来たらしいツーリングライダー以外、二輪を全くと言っていいほど見ない。
全体に国道が発達している印象で、通行を妨げないよう商店の前には側道のある箇所をいくつも見かけた。

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高崎といえば国道沿いにもだるまがいるのをご存知だろうか。
正直だるまが有名なのはここだけではないはずだが、今日は関東平野をいよいよ抜けてしまうので、少林山達磨寺へやってきた。

来たはいいが、寺の前の駐車場が激坂であった。
大量のだるまを見ているとグッズ(?)を欲しくなり、胴体部がくり抜かれている型のだるまおみくじを購入。
内容は忘れてしまったが、それほど良くはなかった気がする。
必勝手ぬぐいは、出産を控えた友人に送りつけた。(その後2月に無事出産)

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※だるまもW650と同じカラーリングシリーズに数えるべきだった。

箕郷町なんて初めて走った。
ここらの県道、たまにウ◯コ臭いが、涼しくて気持ちがいい。

3度目の榛名湖をぐるりと周り、昼は日本三大うどんの水沢うどんで有名な大澤屋第一店舗へ。
靴を脱いで大広間に通された。
昨日から靴箱にブーツが入らない…。

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楓セット¥1296を注文。
うどんはコシが強く、つゆはカツオ濃いめ。
麺のボリュームが多く、違う食べ方ができないので、つゆの味が少しくどく感じる。
舞茸天ぷらの容積が大きい。
時間が経つとぶよぶよの塊になるので、衣がサクサクのうちに早めに食べるべきである。
しかしなんで四国のうどんの価格と10倍ぐらい違うのだろう。
まるでデンマークとインドみたいな差がある。
うどんをどう捉えているかの文化の違いだろうか。
昼時で賑わう大広間には床暖房が効いていたのが面白かった。

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榛名湖を横目に見つつ、紅葉が綺麗な伊香保を今年も素通り観光。

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県道54号を抜けて、群馬県北軽井沢と呼ばれる地域へ。
山を越えてから盆地に入ったようで凍えながら停車。
しかしたどり着いた浅間牧場茶屋では濃厚ソフトクリームが有名だそう。
人生で初めて薪ストーブに当たりながらソフトクリームを食べた。
炎の温かさが身に染みる。
味は美味しかった気がするが、非日常を楽しむ感覚が上回った。

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ダンプトラックを前に見ながら、山道を抜けて行く。
走行で起きる風で、足元の落ち葉はダンプトラックを追いかけているように見える。
私は少ししか風を起こせないので、あまり落ち葉に人気がない。
道の果てにある野反湖へ。

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なぜここに来たかって?
彼のオートバイに登場するからに決まっている。
エンディングで二台並んで駆け回る場面だ。
白樺に囲まれた湖で、人工物がほとんど無いので当時とさほど変わらない景色が楽しめるのだろう。
標高は1600m弱。
こんな山奥の湖に至るまで、当時すでにアスファルト舗装されている(しかも国道指定)のが不思議なぐらいだった。
道の果ての茶屋はすでに閉まっているようだった。

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来た道を戻り、途中から折れて草津温泉街へ。
名だたる温泉地だが、昨年は立ち寄っていないので初到達である。
こんな山奥にも関わらず、観光客がたくさんいる事に驚いた。
二輪に跨ったまま人混みへ突入してしまい、駐車場所を考える間多くの人の視線を受けていた。
ここは道を一つ間違えると歩行者にもきつい程の急階段なので要注意だ。

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ライトアップされた湯畑を取り囲むように商店や旅館が密集している。
湯畑をかき回す湯ごねの見物に行列していたが、テレビで見たことがあるのでとりあえず一通り歩き回った。

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硫黄臭が鼻に付くので無性に温泉卵を食べたくなってしまった。
探すとちゃんと売っている。
草津温泉 温泉卵¥120
しかし想像とは裏腹に、チルドというか作り置きの冷たいものだった。。

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湯畑から少し離れた位置に、縁日を模した射的屋があったので入ってみたがすでに営業が終了していた。
代わりに見つけた3人まで入れるカラオケボックス。

無料の温泉で温まり、防寒着をありったけ着込んで草津を去るが日の暮れた盆地は予想を上回る寒さだった。

今夜はぐっと冷え込み、街が遠いので国道を引返し久しぶりに道の駅で寝る事にした。
明日は一番楽しみにしている軽井沢へ向かう。

快活前橋上小出→少林山達磨寺→k26→k28→k164→k163→大澤屋第1店舗→k15→k33→r406→k33→k54→r146→浅間山茶屋→r141→145→r292→r405→野反湖→r405→r292→草津温泉 地蔵の湯→R292→R145→R406→道の駅くらぶち

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# by aroundjapan | 2018-03-24 09:07 | 2017 バイク旅 | Comments(4)  

みなかみ、黒い空に凍える

続いて再び高崎に戻ってきた。
なぜこんなに彼方此方とウロウロしながら進むのかと言うと、店の営業時間、腹の空き具合、天気の具合、取れ高(某バラエティ番組ふうに言うと)を考えての事だ。
タイヤは無駄にすり減っているけれど仕方がない。

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高崎の革ジャン販売&ライダーズカフェ。

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とりあえずカフェに立ち寄る。
店の内装というか色使いが素敵だった。
モスグリーンのソファなんてあまり出会えない。

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ハニートーストを注文したが、ボリュームに対して途轍も無く安価だった。
甘さも控えめで、昼食がわりにペロリと平らげてしまう。
コーヒーは当然のようにファイヤーキングマグカップで提供された。

こちらのお店、3月末で閉店してしまうそうなので興味のある方は是非来店してみてほしい。

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昨年の日本一周当時は全く立ち寄る予定のなかった赤城山に来た。
赤城、と来ると頭文字Dしか思い浮かばない…。
最近はばくおん!というバイク漫画が流行ってるそうだが(既に古い?)、私の世代はキリンの少し後ぐらいでこれというバイク/自動車作品が無かった。
昨今のキャンプや日本一周を主テーマにしてバイクを絡ませたライフスタイル提案みたいな、ひ弱な(失礼)メディアならいくつか知っているが…。
乗ることそのものを題材にしたものは、現代では流行らないんだろうなあ。
話が逸れてしまった。

まだ紅葉している肌寒い空気が最高に気持ちよく、景色が目に飛び込んで来た途端力が抜けて溜息が漏れてしまう。
どうやらそういう発作の病に罹っているらしい。

山頂の覚満淵を見た後、赤城山神社へ。
赤い鳥居と黄色い紅葉が引き立てあっていて、冬に完全に移行する手前のわずかな季節。実に美しかった。

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山頂の赤城大沼は湖のように穏やかだった。
昼下がりの日差しを受け、行ったことはないが、浄土のようなゆったりとした風情があった。

想像していた赤城山とは全く異なり、驚きつつも癒された。

日没も近づいてきて、行くかどうか迷ったが赤城山を日光方面に吹割の滝へ向かった。


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名前からして特殊な地形の滝と予想していたが、岩のなした渓谷を流れる水が侵食崖にすべり落ちていく様は見応えがあった。
滝を見るポイントはだいたい滝壺側にあるが、ここは上から見る仕様だ。
落差はたった7メートルしかないが、「東洋のナイアガラ」と呼ばれ天然記念物にも指定されている。

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冷え込む山中でひとり、夜を迎えるのは街で育った私には耐え難い。
再び17号線を下り、途中の温泉に立ち寄ってから前橋市街を目指すことにしよう。
国道17号は新潟と群馬の県境から、関東平野に向かって流れる利根川に途中まで沿うようにして南東へ向かっている。
みなかみの辺りは、前回法師温泉に向かう際に北上したがこの道路は走っていないかもしれない。

道幅狭い対面通行の上、通行量は多く、真っ暗になりぐっと冷え込んだ路面には夜露が降り始めていた。
防寒着を着込んでいてもガタガタ震え始める唇を噛み締め、アップダウンや縦溝のある道路を進んでいった。
こういう場面では、直立するしかない画面の前に立ちすくみ、目の前を流れる映像の中でただ倒れないように踏ん張っているだけのように感じる。
そこに意思はないし、身体に当たる風も感じない。
残り僅かの集中力と、冷えた体温を逃さないように意識を握り締めておくだけだ。

途中で見つけたコンビニに震えながら入った。
店内で食事する事は断られたため、苦し紛れに温泉施設の死角でこそこそと咀嚼した。
感覚を失った指先を精一杯の力で動かした。
口に運んだ食料も、ほとんど冷めてしまっている。
なんて惨めなのか。体温を削ってまで私は何をしているのだろうかと自問する。

行水を済ませ、外に出るとびっしりと水滴を付けた二輪が静かに私を待っていた。
今夜の宿までもう少しがんばろう。


ナットクロージング→覚満淵→赤城山神社→吹割の滝→奥平温泉遊神館(入湯税別)→前橋ネットカフェ


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# by aroundjapan | 2018-03-11 09:41 | 2017 バイク旅 | Comments(4)  

脱・広大な関東平野

朝起きたら適当に、持っているものを食べた。

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9時過ぎに国宝であり重要文化財であり世界遺産でもある、富岡製糸場に到着。
途中の国道254はなかなか昭和の趣があった。
誘導された駐車場からは富岡の古い町並みを少し歩く。
見学は千円で、200円追加するとガイドツアーに参加出来るそうなので有閑の私はそいつに乗ってみた。

富岡製糸場は、明治政府の殖産興業というスローガンのもと官営製糸工場として設立された当時世界最大規模の工場だった。
世界遺産に登録されて日が浅いため、平日にもかかわらず観光客はそこそこいた。
ガイドツアーに若い人は私一人だった。
建物は南側の繰糸所を中心に東西に置繭所が位置している。
ほぼ全ての建物の柱に木材を使用していて、初めて見たが木骨煉瓦造というらしく保存状態も良い。
特に妙義山の杉を調達する際には、樹齢の長いものを必要としたので天狗の祟りがあると恐れられたそうだが、近代化と引き換えに了承されたとか。
反射炉で鉄の製造を始めて十数年だったはずだから、いま簡単に手に入るあらゆる資材が安定的に供給される時代背景ではなかったのだろう。
レンガに関しては横方向に長短と並べるフランス積みをしたらしい。
レンガの積み方にも区別があるとは驚き。
日本には当時レンガそのものが無かったため、埼玉の深谷から呼んできた瓦職人が重宝されたそう。
レンガの焼成も黒→赤→白という具合にカラフルになっているのは、職人の技術が建造に追いついてなかったようだ。

東置繭所の外観から見たが二階は繭乾燥用の通風確保のため開口部になっていた。
ガラスもまだ当時の日本では作る技術が無くて輸入品だそうだ。
煉瓦造は、明治後半にはより強度を確保出来るイギリス積みへと変わっていく。

アーチ造の象徴的なキーストーン。

続いて繰糸所へ案内された。
外観的な特徴として、東西長140メートル余、恐らく換気の為てっぺんは越屋根になっている。
当時は電灯がないから採光の南側配置に、これまた開口部。
明治5年10月4日に創業した富岡製糸場であったが、昭和に入り片倉製糸工業に買い取られ昭和末期まで操業は続いたそうだ。

内部空間を広く取れるようトラス造で柱の少ない構造としたため、工女たちは建物が崩れないか怯えていたそうだ。
現代で建設を学んだらまず初めに学ぶ事になるトラス構造も、当時の日本では(ここ以外)全く見ることが出来なかった筈だから当然かも知れない。


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昭和末期に操業を終えた繰糸器械は、同じ型を未だに利用している工場もあるとか?
幼い頃親戚に買ってもらった毛糸を編むおもちゃを思い出した。

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「繭はお風呂に入りながらバケットでやってくる。」
お風呂なんて可愛らしい表現をされているが、実際は中の蚕を殺すため熱湯に漬け込んだそうだ。
しかも当時はさなぎごと下水に直送していたらしい。(今は水質汚濁防止法で不可)
養蚕は日本各地の農村でその後生産が活発になるため、日本一周時に各地で目にした。
見た目がアレなので活用して食べるのも嫌だけど、せめて慰霊碑を作ってあげたい。

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工場の奥には映像で、稼働当時の様子が流れていた。
雇われた工女は全寮で食事付き、医療費無料の7時間45分労働だったそう。
なかなか条件は良い。
国を挙げて工女を集めるのに如何に力を注いでいたかと言うのは、責任者の娘である横田英が実際に工女に名乗り出たことからも計り知れる。
彼女は本も記していてその筋では著名な女性だそう。
工女は当時まだ、ビタミン不足が原因のかっけや赤痢に悩まされたそうだ。
一等工女の給料について説明があり、当初はかなり貰えていたそうだが、お雇い外国人ポールブリュナの有り得ない高給などが問題になり3年目に解雇され、経営は悪化。
民間企業に引き渡される。
当時の製紙工場の中で富岡は全然マシな方だったようで、明治期に酷使された工女たちの話は「あゝ野麦峠」に詳しい。

外国人の館には、地下室・食料庫・シェルターなどがありこれらの設備は生麦事件に怯えたからだそうだ。

ツアーは全体的に和気藹々とした雰囲気で終わった。

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蚕から生糸を実際に“よる”実演をしていた。
館内には生糸生産者から仕入れたお土産品などが販売されており、群馬の山間の町にしては意外なほど賑わっていた。

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懐かしいバイク、ホンダのCD125Tが店先に停めてあり、雰囲気が出ていた。
バイクに憧れた時分、いいなぁと思っていたが最近はこのバイクを滅多に見なくなった。

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近くにあったのでこんにゃくパークに立ち寄ってみた。
広大な駐車場に2人ほど配置されていたが、仕事していない警備員の横を通過する。
ここにも「つる舞う形〜」を発見。

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内部は一階が販売・試食コーナー、二階が工場見学コーナーとなっていて割と長いこと歩かせられる。

こんにゃく芋は、群馬県がダントツの生産量日本一。
展示されているこんにゃく芋の長さに驚愕。実が特にキモイ。

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糸こんにゃくを1秒あたり何個も巻く人が居るのかと思って期待しながら見ていると、どうやら機械で巻いたのを詰め込むだけのようだった。

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試食コーナーに行ってみたが、無料な事もあり行列。
時間なら余るほどあるので食べてみることにした。
ツアーで来たのだろうか、高齢者ばかり。
無料と言ったら飛びつくのも、何というかそういう様子を見続けるのはウンザリしてしまう。
15種類以上の試食があり、主たる原材料はもちろんこんにゃく。
調味料や料理法でこんなにも味と食感が変貌するのかという驚きがあった。
きつねうどん風、ラーメン風、タコの唐揚げ風が好みだった。


後半へ続く

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# by aroundjapan | 2018-03-06 23:21 | 2017 バイク旅 | Comments(0)  

自販機食堂

某SNSで群馬のドライブイン情報を収集していたが、なんと3年前に新規オープンした店があるとのこと。
これは行ってみねばなるまい。


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愛車で到着、ドライブイン。
ドライブ中の休憩にしてはずいぶんと遠くまでお越しですね。
長距離ライダーですか。
ええ、まぁ。
(ドライブインに通常店主はいないためイメージです)
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実際に店舗に来てみると、写真を見て想像していたよりこじんまりした印象だったが内部は驚きの充実ぶり。
また出会えたトーストサンド機。
細かく書いてある張り紙には、期間限定のサンドも登場するようで管理されている店主のこだわりがうかがえる。
それだけではなく古いマシンを使用しているため、不調のときはゴメンネ的な断り書きも。
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オリジナル販促品の販売ももちろん自販機で行っている。
右の機械はお金を入れてレバーを下に下げるタイプのもの。
子供のころカードやシール類の下敷きなどで見た気がする。
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販促品で一番デザインが好きなロゴマークシールを購入。
こちらはお金を入れて番号ボタンを押すと扉があくもの。
少数生産のため価格はこれ以上下げられないのかもしれないが、キーホルダー600円など他のドライブインより良心的な値段設定。
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ハンバーガーマシンも中身はかなりこだわっている様子。
お洒落なハンバーガー屋には雰囲気こそ敵わないものの、300円であったかいバーガーを食べさせてくれる素敵な機械だ。
ハラペーニョ・マヨネーズ・ガーリックのメキシカンバーガーを選んでみる。

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ドリンクは瓶で売られているジンジャーエール。
栓抜きはマシンに付属。持ち運び?型もかかっていた。
昔の鉄道は窓際に、栓抜きになるものがついていたらしい。

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窓のロゴマークの隙間から愛車を眺めつつ、ジンジャーエールで乾杯。
ハンバーガーを食べることにした。

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サイズこそ小ぶりなものの、パテはかなり厚みがあった。
ハラペーニョのピリ辛が、あまり特徴のないやさしい味のハンバーガーにパンチを入れている。

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自販機の調子によって、中身が冷たい場合もあるそうで(イラストではなぜか「自販機が調子に乗って」と書かれている笑)そこは製造から40~50年経過した老体に鞭打っているためご愛敬。

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常駐していない店主(おそらく本業は別にあり?)が独特のタッチでイラストを貼りまくっているのがなんとも和む。
なんでも店主は亡き母親の営んでいた喫茶店を改装して開店されたそうで、店を盛り上げたい気持ちが伝わってくる。
脱力系のハラペーニョくんとメキシカンなイラスト。
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昔懐かしいおもちゃ消しゴムの自販機も片隅にあり。
わかるようで微妙にわからない世代の私。
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他にも昭和の遊びマシンも。
ジャンケンポンは小さいころ母の帰省についていったときに、レトロ商店街(今はない)でよく遊んだな。
他のは当然わからないが、賑やかしいゲーム音声や集客の呼びかけが延々と流れていたが、これが唯一の店のBGMとなっていた。
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トイレの蓋に貼られていた懐かしいメンテナンス用ステッカー。
これも実は店主が自主的に復刻したらしく、よほどの昭和自販機オタクであるとうかがえる。
しかしこのステッカー(当時もの)と数日後に再会するのだが、この時はまだ知らない。
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ラーメン自販機に関するこだわりと断りを同時に伝える張り紙。
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こちらがラーメン。
自販機ラーメンは西日本も東日本も、食べた場所では皆同じソフト麺。
自販機で温めるという構造上仕方ないと思うがソフト麺はあまり好きではない。。
その他の具材は申し分なく美味しい。

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かわいいイラストを見ながら今度は店の奥のカウンター席で食べた。
自由に読んでいい本棚があり「お前はまだグンマを知らない」という面白そうなご当地漫画があったので、一通り群馬について学ぶことが出来た。
特に群馬県は上毛や上州と言われ、県民に広く浸透している”上毛かるた”より、平面的にツルの形をしているという事を初めて知ったがこれは群馬県各地で目にすることとなる。
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たくさん食べると日がすっかり暮れていた。
ごちそうさまでした。


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# by aroundjapan | 2018-02-18 02:29 | 2017 バイク旅 | Comments(2)