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山形・宮城

会津の朝は寒い。
目を覚ますと早速防寒着を着込んだ。

宿のオーナーが見当たらず、M君は先に行ってしまう。
K君とは、コンビニの前で手を振って別れた。
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喜多方バイパスから国道121号へ進もう。
今朝は快晴だったが、久しぶりに頭痛がするので薬を飲みたい。

途中、コンビニを見つけてドーナツとハッシュポテトを買った。
頭痛がひどく、食べたい気分ではないが薬を飲むためにかきこんだ。
走っているうちにだいぶ気分は良くなった。

121号に商店などはほぼない。
路肩に花が植えてあったりとのんびりした印象の国道だ。
長い大峠トンネルを抜けた先は山形県米沢市なのだが、トンネルを抜けた途端に気温が下がった。
引き続き13号の山間部を進み、上山(かみのやま)を通過する。
温泉郷に立ち寄るか考えたが、やはり早めに蔵王へ行きたいので却下した。

すると国道から見える位置に、人口3万程度の上山には不釣り合いなスカイタワーがそびえる。
砂漠のオアシスのように蜃気楼が見えているのかも知れないと思うほど信じがたい光景だった。
あまりにも気になって立ち寄ることにした。おそらく40階近くある建物の周囲には広大な住民用の駐車場があった。
警備員もいて、ショッピングセンターの駐車場のようだ。
なぜこんな田舎にタワーマンションを作ったのか。
おそらくバブル期の宅地開発が関係しているのだろう。
調べてみると、41階建・2LDKのこのマンションは中古市場1000万を切る価格で売りに出されてる。
買い手もすぐつくようだし、雪下ろししなくていいし、下手に売れない一軒家を所有するよりはリスクが少ないかもしれない。
面白い光景を目にした。


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山形の名道・蔵王エコーラインを登る。
蔵王なんて聞くとスキー場の印象しかない。九州出身者のほとんどが、おそらくそうだ。
果たしてこの先でなにを見られると言うのか。

標高の低い位置はすでに紅葉が終わりかけていた。
平日にも関わらず観光客らしい自動車がそれなりにいる。

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ロープウェイもあるようだがせっかく車両でいけるので有料道路の蔵王ハイラインも走り、お釜に再接近。
ハンドルカバー・防寒着・・とあれこれ対策しているつもりだが、体中がガタガタ震える。
気温は4度だとか。
体感はそれ以上に寒い。
駐車場に停めると、寒さに弱い私はまずレストハウスで暖を取った。
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レストハウス2階の展望レストランは全席数の7割ほどが団体客の予約席と言うことで、昼食の支度がされていた。
券売機で玉こんにゃくを買ったはいいが、ろくに着席するスペースが見つからず、隅のほうに小さくなって食べる。
せめて間仕切り壁などで座席数の少なさを主張するなり、券を渡す際にアナウンスしてほしい。

玉こんにゃくは去年、道の駅あつみでしょうこさんを待っていたときに食べたものと寸分変わらない味だった。
どの店で食べても安定した味の食べ物と言うのは貴重だと思えるほどだった。
しかも100円か200円程度で、カロリーも高くないので山形県民のソウルフードは素晴らしい。
ご当地菓子らしき、おしどりのミルクケーキというものも購入。

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そして蔵王にはお釜を見に来たのだが、これがお釜の正体だった。
火山によって出来るカルデラ湖は十和田や阿蘇のようにいびつな形をしたものが多いが、蔵王のお釜はくっきり丸く見えた。
すぐそこに見えている感覚だが、天候によってはガスで見えない日があるそうで、今回見ることが出来てよかった。
海外の観光客も何組か見たが、よく探して来るねと感心。
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九州の人はあまり来ないであろう場所まで来たので、何か証をと思い刈田嶺神社にて交通安全ステッカーを購入。
どうやら山麓の遠刈田嶺の奥宮にあたるらしい。
厳冬期は当然こんなところまで自力で来れないため、里にも造り季節遷宮するそう。

蔵王を東方面に降りると仙台に行くことが出来る。
伊達家に所縁がある神社のようで、伊達の家紋入り。

駐車場に戻ると、すぐ近くに日本一周中と掲げた北海道ナンバーのカブ乗りの女性。
地図を繰っている彼女は私より一回りほど上に見えた。
声をかけてみると、完全旅仕様のカブとは裏腹に「テントも張ったことないし、まだ出てきたばかりで何もわからなくて・・」と不安そうに言う。
明日から天気が崩れるが宿無しで困っていると言うので、宿探しに便利なホームページなどを教えた。
キャンプはもう季節的に寒いし、一人で不安な気持ちも理解できる。
女性は、可能ならしない方がいい。
私は基本的に男性の旅ライダーがいてもほぼこちらからは声をかけない。(去年も唯一話しかけたのはWR250XのK君だけ)

そこに「ねえさん!」と、近付いてきた男性はM君が現れた。
ジャージ姿でビッグスクーターを乗り回していた彼は、さすがに凍えて唇が紫色になっていた。
M君と少しだけ話をして別れたが、彼も面白い奴で知り合えてよかった。

今回は来た道を戻り、13号を山形市内経由。
平安時代に開かれた天台宗の宝珠山 立石寺(りっしゃくじ:通称山寺)へ行くことにした。
こちらは会津のさざえ堂に続き、土産店付設の駐車場のみの案内である。
今日も昼食のタイミングを逸してしまい、到着した時刻は15時過ぎだった。

参道から最寄らしき土産店併設の食事処で芋煮を食べることにしよう。
ヘルメットを持ったまま店に顔を突っ込み、これから芋煮を食べて日没までに山寺へ行って帰ってこれるか聞くと、「あぁ大丈夫!間に合うよ!」と言われた。
ブーツをスニーカーに履き替えてしばし待つと温かな芋煮が出てきた。
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ズズズ・・
しょうゆ味の出汁が冷えた身体に染み渡るようだ。
この状態をなんと表現しようか。
やはりここらでは、食べるものの温度が料理に大きな意味をもたらしている気がする。
舌で感じる美味しいという感覚を越えている。
七味がまた身体を温めてくれる。
最後の一滴まで飲み干して御馳走様!
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日の暮れる前に降りてこなければならないので先を急ぐ。
この時間から上る人は、下る人よりも少ない。
この1年間、運動をほとんどしていないので1070段はさぞや堪えるだろうと思い、ペース配分を控えめにしつつ急ぎ足で歩く。

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金乗院のバカデカイ数珠のようなもので出来たぴんころ車。”生きている時はピンピンと、逝く時はコロッと”というらしい。(怪訝な目)
・・など見ているともう奥の院に着いてしまった。
公式ホームページによると見所はそれなりにあったはずだが、ふもとから頂上付近まで25分ぐらいだろうか。
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赤いのが有名な納経堂。
ふもとの町並みを入れて撮影すると、「あぁ山寺と言えばこれね!」という写真になると思うのだが、私の見たのはいまいちピンと来ない角度であった。
駐車場に降りてきたのは上り始めてちょうど一時間後だった。
恐らく階段を上りながら涼んだり、せみ塚を眺めたりして楽しむ場所だと思う。
案内など少なく、あまり当地の背景が窺えないし、せっかちな私には向いていない観光地と言えよう。
そしてなぜこのように地味な山寺(失礼)が観光地として成立しているかと言うと、東宮嘉仁親王(後の大正天皇)が行啓された事がきっかけのひとつであるそう。
山寺を訪れたことで、最早そういう視点から各地を見てしまっている自分に気付いた。
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下山して5分で身体が冷えてしまったので、風呂へ来た。
この旅において最北地点となる天童温泉だ。
風呂に入る前に、夕飯にまたもや山形名物・鳥中華なるものを食べた。
鶏肉の入った出汁の効いた醤油ラーメンで、三つ葉が載っているのがアクセントだ。

するとこちらのレストランのシェフが宮崎県出身と言うことで、私も住んでいた時期があったため従業員の方が呼んできてくださり歓談。
共通の知り合いがいたりと話が盛り上がった。
高千穂高校剣道部の話なども出た。(※彼も私も出身校ではないよ)
九州から東北へ移り住んだ背景が気になったが、料理人も雇用形態によっては全国転勤の仕事なのかもしれない。
ともかく彼が私がここまで来た事について喜んでくれたようで嬉しかった。

露天風呂はとても広く、1時間近く滞在した。
「こんな遠くの土地で皆同じように湯に浸かっている、私がどこから来たなんて彼女らは知らない。」と他の入浴客を見ながら、何度も同じ事を考えていた。
風呂は忙しい思考を穏やかにするのが、いい。
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夜は特に冷えるが、見知らぬ寒空に星を見つけた私は喜んでいた。



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by aroundjapan | 2017-12-18 15:15 | 2017 バイク旅 | Comments(2)  

Commented by いつかは 夢走 at 2017-12-20 14:12 x
芋煮のシーン寒さが ひしひし伝わります。たんぱくな味だったんでしょうね?
やはり決め手は、
(七味)ですよね?
七味と言えば
我が家の七味は、暖かく迎えてくれましたか? (ワン‼️)

・・・・いつかは
Commented by aroundjapan at 2017-12-23 01:10
> いつかは 夢走さん
芋煮は出汁がよく染みてました。
七味は私の家の犬ではありませんよ。

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