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126日目 福島・浜通り

おはようございます。

名取の宿泊所で目覚め。
ドミトリーを一人で使わせていただいて有難い。

朝から干したテントも無事乾いたので取り込む。

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こちらの宿は名取の津波被害があった場所に建てられた、簡易の宿泊施設だ。
プレハブ小屋が2棟連なっていて、向かって右手に建設現場の作業員が寝泊まりしている。
左手が一般客向けだ。
シャワーやトイレも清潔で洗濯機や乾燥機があって、ベッドを使えて2500円と格安なので仙台を訪れる際は復興支援としてぜひ使ってほしい。

今朝も晴天だ。
”東日本大震災 津波到達地点ここから”の看板を久しぶりに見る。
今日は午後から小名浜に事務所を構え、福島の原発関係で働いている先輩に国道6号線(通称浜通り)を案内していただく予定だ。

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待ち合わせしている小名浜へ向かおうとするも、6号線は2016年9月現在、自動車の通行は認められているが二輪車・自転車・歩行者は通行禁止となっている。
まず日本一周ライダーは避けて通る道だろう。

迂回路を探そうとしたが、時間がかかりすぎる上に、どこまでが進入禁止とされているのか知るのが難しい。

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結局ややこしいので、常磐道を走っていくことにした。
常磐道は6号線と互いに見える位置に通っているのに、なぜか自動二輪も通行して良いこととなっている。

写真は分かりにくいが放射線量が観測され、表示されている。
いま少なからず放射線を全身に浴びているということだ。
恐ろしいが今日1日耐えよう。

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上から見ると除染作業を行っているのがわかる。

小名浜に到着し、先輩が宿を押さえてくださったので荷物を入れてしばし休息。

仕事終わりの先輩と合流すると、さっそく車に乗って国道6号線へ連れて行ってくれた。
先輩とは2年ぶりぐらいに顔を合わせた、お互いに会っていなかった時間がいつの間にか埋まるほど話が弾んだ。

1時間ほどで、”この先帰還困難区域”と看板が出ているエリアへ到達した。
楢葉を通過し、富岡辺りまで入っていった。

楢葉にはJビレッジという、サッカー日本代表が練習するような大規模な施設があったそうだ。
そこは原発事故以降、建設現場の資材置き場や駐車場のような状態となってしまった。
今、見直されてサッカーファンに返還するべく片付け作業に入っているそうだ。

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通路には右左折して住宅地へ入っていくための検問となる警官が立っている。
フェンスに囲まれ、物々しい雰囲気。

通り沿いに”エフイチ危険手当”と書かれた看板が出ていた。
数軒、コンビニなどは営業していたがここを往来するのは原発関係者や道路工事従事者が殆どだと言うから、彼らのためのものだろう。

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自動車のショールームと思われる建物も地震で壊れたまま、手がつけられていない。
被爆しているからだ。
瓦礫も処分のしようがないからだ、と先輩は言う。

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民家も余所者が立ち入ることができないよう、バリケードとフェンスで厳重に管理してある。

東電か国かの補助で、倒壊した住宅は綺麗に補修されていた。
だが街を歩く人は居ない。
さながらゴーストタウンだ。
帰還困難を解かれた地域であっても、病院や銀行などの生活に必要な施設は機能していない。
どうやって家に戻れと言うのだろう。
さらには戻る人には生活補助金を断ち切ると言うから、東電か国か…は原発事故から立ち直ったとでも事故を正当化したいのが本音だろう。

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海岸の建設資材会社の倉庫もひしゃげてしまったまま、残されている。
経営者やここで働いていた人たちは、どうすることも出来なくてやるせない気持ちだろうな…と先輩は言った。

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除染として汚染された土壌を詰めたフレコンバック。
耐候性の黒色とは言え、耐用保管期間は短いもので一年、長くても三年程度だったと記憶している。
積み上げて潰れているものもあったし、大雨では流される事もあるという。

この様子を見て呆れるというか、引き取り手が無く積み上げられる状況は予想が付いた筈なのに、事業の発想が短絡的過ぎて他に手はなかったのかと思う。
私の所属していた会社ももちろん、これら原発事故に関連した工事の一端を担っている。

しかし忘れてはならないのが、東北である福島県はかつて首都圏へ送電する東京電力の為の発電所施設の建設を受け容れたのだ。
それを幾らか生活の糧としていた人が居るのも事実だろう。

自然災害が相手では、事故は仕方がなかった。
でもその後の対策は、なぜここまでおかしな事になっているのか。
東電や国に対して、どうする事も出来ない無力さを覚えた。

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夜は小名浜港から上がる鮮魚の丼をご馳走になった。
小名浜港で上がると言っても、福島近海では漁業は制限されているようなので他の地域で獲れたものだろう。
いずれもとても美味しかった。

先輩とは所属先の会社は違うが社会人1年目の職場で、ど素人の私に超初歩的な事から根気よく教えていただいて大変お世話になった。
1年目の職場は、当たり前だが生まれて初めての仕事だったので思い出も多い。
先輩方は私が退職してしまった今もこうして気にかけて下さってすごく嬉しい。

いつまでも良い関係が保てるように、自分もこれからも努力せねばと感じた。
S先輩、貴重な体験をさせていただき本当にありがとうございました。


走った距離
名取宿泊所→6号経由 常磐道新地IC(常磐道利用)→いわき四倉IC
171km

高速料金¥1990
ガスト ランチ¥538
セブン アイス¥100
ドラッグストア 食品¥400
ドラッグストア 雑費¥192

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by aroundjapan | 2016-09-25 10:49 | 日本一周 | Comments(2)  

Commented by S at 2016-09-25 19:46 x
ブログおもしろいよ!
Commented by aroundjapan at 2016-09-25 20:06
>S先輩?
ありがとうございます
お世話になりました!

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