九州半周編1/4 宮崎県を出る

2016/4/8(金)

この日からバイクに乗ろうと決めていた。
旅は3、4日
最終目的地は地元の福岡。

有給休暇の取得を始めてはや一週間が経っていた。
家の中の自分のものを整理し過去と向き合い続けるのには、もううんざりしていた頃だった。

この日はあいにくの雨だった。

だが決めていたことなので遂行することとした。

通る道も決めていた。

だがどこに行くかは大体しか決めていなかった。
と言っても初日なので宿だけは前日に押さえていた。
そこまで着けない時はまたそのとき考えよう。

宿舎を出た頃には雨が降り始めていた。
カッパを着込み、チョークを開いて暖気を完了。山の中へ突っ込んでいく。
車を運転するのは毎日のことだが、バイクにまたがる事からは2ヶ月ほど離れていた気がした。
いつもより少しだけ緊張し、グリップを握る。
路面は濡れている。しとしと降り続く雨に染まり、自分の身体も路面の温度と湿度に近づいて一体化していくようだ。

遠くには標高はそれほどないが山と山が連なり、濃い霧が立ち込め、雲の上にいるようなダイナミックな気分が味わえた。
途中で道端にサルが死んでいた。
職場の近くでもサルは見ていたが、はねられて死んでいるのを見たのは初めて。
しかも目を見開いていて、この世にすがり付いているようにも思えた。成仏できますように。
このあたりにはキジも出現する。
20数年、九州で暮らしていたがキジを見たのは宮崎に来てからだ。
同じ九州とはいえ、知らぬ土地で生活すると見聞が広まる。
福岡などの北部と、鹿児島宮崎の南部では気候も言葉も全く違う。

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小一時間ほど走ると、日南市の市街地へ抜け、海辺の港町へと導かれた。
ここには車でよく来ていたので、以前にも来たことがあるスーパーにて遅めの朝食を調達した。
甘辛く煮た日南とりをほおばる。
山間部を抜けて体温が下がり腹も減っていたため、少し自分の身体が活発に機能し始めるのを感じた。

予想していたとおりに事が運んだので、余裕が出て以前行ったことのあるカフェを目指した。
再び山間部の国道で、さつまいも畑やサトイモ畑を駆け抜けるうちに串間へ出た。
カフェは寿司屋の向かいだ。まだシャッターを開けたばかりのモヒカン頭の店主に、バイクを見せよう。
カフェの店主も私と同じ福岡の出身なので話しに花が咲いた。
宮崎には移住してきている人も多くいる。
そして大体そういった人たちがこのようなおしゃれなカフェをやっているのだ。
自分には親類や友達のいない土地で、ゼロから商売始める根性はないから尊敬する。
神戸から越してきたお客さんも加わって、一時間以上居ただろうか。
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出発し、フェリーの港を目指す。
ここも前回ツーリングできていた場所だった。
鹿児島県南大隅、ここがまたイイ感じの道路が広がっている。
前にも後ろにも誰も居ない。
たまに追い越す赤い車はトラクター。

左に進めば内之浦ロケットセンターだが、今日は港へ一直線。
フェリーには滑り込みと思われたので、車室にバイクを停め、乗船チケットを買いに走って受付へ行くと、待っていたおばちゃんが「そんなに急がんでもいいよ~」と言ってくれてホッとした。
ろくに昼食を摂っていなかったので腹が減った。
リュックに入っていたジャイアントカプリコをかじったが、チョコレートなんて空腹時にはあまり効果がなかった。
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この船に甲板はないので、通路に設置されたベンチで記念すべき初日の昼食を撮影していたところ、隣の老夫婦に怪訝な眼で見られた気がしたので、食べ終えて大人しく室内に戻った。
もっと炭水化物の塊みたいなものを食べたかったが、30分程度の航行では売店もそういうものを提供する気はなさそうだ。
諦めて仮眠することにしたが、テレビの音がうるさくてあまり寝た気がしなかった。

着いた港には水産加工物みたいな匂いが立ち込めていた。
鰹をいぶす液体の匂いだろうか。
半島から半島へ移動したが、ここは鹿児島県のままだった。
こっちの半島にはずっと昔に来たことがあったが、右も左もわからないのでマップを繰り地図を暗記しようとした。
宮崎県でえらそうなツラしてやがる(?)国道269号線の起点がすぐそばにあると知ったので行ってみたが、起点の印も何にもなく特に感動のない起点だった。
気を取り直して指宿の中心地を目指した。
アーケードっぽい道路を通り過ぎると、私の記憶にある指宿よりずいぶんと寂れている気がした。
宿の前と思われる場所に着くと、ソープランド秘宴という大きな看板が目に入った。
一瞬ビビったが、すぐに宿を見つけ、バイクを停めるとオーナーが出てきた。
第一印象で気難しい人だと思った。
安宿のオーナーはこういうタイプが多い。
私が今年8年目を迎えるバイク人生でライダーハウスを敬遠してきた理由がこれだ。
しかし職を失う私に、背に腹は換えられない。
安さに免じて多少のことは我慢するのだ。
思惑通り、その日の布団はフカフカで暖かく快眠できた。

逆らうとめんどくさそうなので、オーナーの意向に従いバイクは停めて徒歩で観光することにした。
港で座り込み海を眺め、住宅の間にポツリと営業しているお菓子屋さんで購入したシュークリームをほおばった。
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2時間ほどうろつくと、日も沈み、流石に疲れてきたので最近開業したと思われるお風呂屋さんに入った。
立ち寄り湯300円で露天も付いていた。
露天の先客の女性と話していると、娘が私の地元の隣町に住んでいるということだった。
意外と世間は狭い。
思ったとおり、店は開業したばかりで屋号の入ったボールペンをくれた。

夕食は(さっき職を失うとか言った割りに)お酒を飲める料理屋さんでいただいた。
実はご飯は近くの弁当屋で買うといいなんて勧められていたのだが、ろくに昼食も摂れていない今の自分にとって食事は重要な観光資源だった。それはないだろう。
自身は酒は一滴も飲まないのだが、こういうところには美味しいご飯もあると言うもの。
少し贅沢をしてお魚とご飯で定食のようにして食べた。
先付けのほうれん草のおひたしも出汁が非常に美味しく、トビウオのすり身揚げは口に含んだ瞬間唾液があふれてきた。
ブリのカマは酒飲みに合わせたのだろうか、やけに塩辛かった。
仕方がないのでご飯を注文した。料理が美味しいので、朝食に食べるおにぎりも購入した。
梅とシラスのおにぎりを食べていたら、宿のオーナーにやけにじろじろ見られた。
宿泊客の愚痴なんていっている暇があるなら、その町にある楽しいことをどんどん教えて欲しいものだ。





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by aroundjapan | 2016-04-22 23:54 | 2016 九州半周編 | Comments(0)  

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