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あの日の練習コース


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目が覚めて雨に濡れた甲板に出ると、九州が見えてきた。
本当にフェリーがあることで旅の自由度が飛躍的に上がる。

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すでに福岡県内だがやはり寄り道したくなる。毎回平尾台というのもつまらないため、今日は河内貯水池に来てみた。
学生時代以来10数年ぶりか。
北九州イチの夜景の名所、皿倉山の裏側に位置する河内貯水池は新日鉄住金の所有する現役ダムの人造湖。
およそ100年前に官営八幡製鉄所へ工業用水を確保するためのダムとして作られ、土木学会選奨土木遺産にも登録されている。
案内看板も古めかしく、普段はあまり人気もない周辺は暗い時間に来ると不気味ですらある。

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景色ははっきり言ってとても地味。
しかしよく見ると堰堤は石造りで、100年前のものが現役という精巧な明治の物づくりを味わうことができる。
現在は北九州市が管理しているらしく、春には桜、周辺には藤園もあるので市民にも親しまれているスポットだ。

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もっとも見るべき土木遺産は南河内橋。
その面白い形は2連レンズトラス(レンティキュラートラス)構造というらしい。
日本に建造されたものは3例しかなく、しかも現存するのはこの南河内橋のみとのことでかなり貴重な構造物だ。


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池の周辺はかなりの急カーブが連続している。
学生の頃、当時乗っていた250ccのバイクで運転の練習をしていたが、カーブに差し掛かる度泣きそうになっていた。
今は適度にブレーキをかけることを覚えたので然程怖くない。
初めてWを連れてきたので(連れてこられたのは私だが)記念撮影。
県内ながらあまり来ない場所なのでいい思い出ができた。
朝9時ごろには帰宅。
今回はノスタルジーに浸る旅だった。


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# by aroundjapan | 2019-08-14 20:20 | 2019 バイク旅 | Comments(1)  

移動日

冬用の寝袋ではなく、夏用を入れて来てしまっていた。
寝る前にYちゃんにカイロをもらったので寝袋の足先に入れて、さらにその寝袋をファスナーを閉めた革ジャンに突っ込むとアンカのようになってとても暖まった。
それでも夜中寒くて何度か目が覚めた。
真夜中、どうしてもトイレに行きたくなってしまい、野生生物と出くわさないように念のため耳栓を取ってからトイレに歩いて行った。
ちゃんと眠りたいと思い、最終的には腕も防寒着の胴体部分に入れて身体と密着させて眠ると、気付けば朝を迎えた。
目が覚めると意外にも明るく、隣の家族が連れて来た犬が高い声で鳴きながら私のテントのまわりを走り回っていた。
気温も思ったよりは高く、撤収作業で動きやすいよう防寒着を脱いだがかえって涼しく感じるぐらいには、この山奥にも日光が届いていた。

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朝の大平峠キャンプ場

水場で顔を洗っていると、「熊出没注意!」の張紙がしてあった。
明るくなって周囲を見渡すと、目線より高いぐらいに密生しているのは熊笹ではないか。
昨夜Tさんたちと笑いながら「こっちから来たら僕が、向こうから来たらKさんが最初にやられますね」なんて話していたが冗談ではなかった。
後は出発するだけなのでもう不安はないが、一人では絶対に泊まらないキャンプ場だ。
(※ちなみにこの後7月の中津川市で熊に襲われる事件が二件発生したらしい。怖すぎる…。)

朝はTさんとRさんの二人で、Tさん家で焼いてきたというパンを貰い、コーヒーを入れる。
なんて贅沢な朝食なんだろう、と思う暇もなく最も遠方からきている私が一番早く出発する時間だ。
もちろん帰りも舗装路までTさんに乗って行ってもらい、皆に見送られる。

県道から国道に出て、9時に中津川から高速道路に乗る。
1時間で養老SAに来た。某旅仲間にライン、すぐに返事が返ってくる。
またね、と送り1時間で今度は草津まで来た。もう関西地方だ。
高速道路の渋滞を恐れて早めに出発したのだが、予定より早すぎやしないか。
やはり一人だとまともに食べる気がせず、軽く食べ、給油も行う。
大津、東大阪と全てのSAを巡るがごとく、細かく休憩を入れる。
仮眠したい気分だが、そういう場所は全く見当たらない。
以前何度かここを通ったときは吹田周りだったが、今回は東大阪だったので久御山あたりのジャンクションから繋がったのだろう。
関西の高速道路はジャンクションだらけだ。
到着したのは15時40分ごろで、すぐに乗船が始まった。
今まで数えきれないほどフェリーに乗ったが、初めてカプセルタイプの個室にしてみた。
往路とは違い快適な航路が約束されている。
これで寝ていれば門司に着くなんて幸せだ。


走ったルート
大平峠キャンプ場→中津川IC→中央道→小牧JCT→米原JCT→大山崎JCT→久御山JCT→門真JCT→東大阪PA→フェリー乗り場


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# by aroundjapan | 2019-08-03 19:40 | 2019 バイク旅 | Comments(1)  

大平峠でキャンプ

いつかと同じ、亜熱帯からおはよう。


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諏訪市街地に出来たばかりの某大手ネットカフェの昨晩の様子は、まるで北海道のライダーハウスだった。
私みたいに走って寝て…というスタイルのライダーにはうってつけなのがネットカフェ。
昨今はインターネットの普及でツーリングにおいても革新的な変化が起きている。
便利になった反面、日が落ちることへの恐怖感が薄れ、それと同時に泊まれる場所を見つけた時の安堵もほとんど感じなくなっている。
なんてツマラナイんだ。

初めて諏訪に来た時のことを思い出す。
空はオレンジ色になり、諏訪湖にぶつかった私は、初めて目にした湖にうっとりすることもなく、必死に泊まれる宿を探していた。
この日はビーナスラインを走ると目標を決めていた、ただそれだけの私とW650の初めての遠出だった。

宿とは本来出発前に電話で予約をして、頃合いを見て到着するものだった。
そこで知り合った人と会話をしたり、夕飯を共にすることもあった。
ネットカフェにはそれがない。店員と2、3言のクチを利いて入ってしまえば完全に一人の世界だ。

この10年のうちに変わってしまった事と言えば、スマホを使ったナビが登場したことも挙げられる。
少し進むごとに地図をめくり、太陽の位置や川の流れで方角を考えながら走っていたあの頃とは違う。
インターネットやスマートフォンの普及によって私たち日本人のツーリングスタイルは、劇的に変わってしまった。
手のひらに収まるパソコンのような利便性を知ってしまった以上、スマートフォンが手放せなくなっている私も、もうあの頃には戻れない。
ツーリング中にツイッターやインスタグラムを更新するなんて個人的な志向で言うともってのほかだ。
バイクに乗る者として、不便を愛する者として、ネットカフェに泊まるなんて行為は主義に反しているとても悲しい事なのだ。


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・・そんな事を思いながら、今朝もこの狭いパソコンブースで目を覚ます。
私は一体何をしているんだろう。
でもクタクタになるまで、食事も抜いて、走れるところまで走る、そんなツーリングを年甲斐もなく「つい」やってしまう私にすっぽりはまるのがこのネットカフェ。
個人的には、都市型人間なのでこちらに流れるのはごく自然だと思う。
さて、探検しよう。

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潜水艦の窓が付いた個別ブース、盗難対策のためか簡易錠がかかるようになっていた。
法律的に問題無いのだろうか。


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東南アジアというよりはミクロネシア系のインテリアが不気味なのがこの店の特徴。
寝る前や朝見たいものではない。修正済み。


朝はさわやかに、というのがこの国のルールだ。
いや、国単位での通念ではないけれど私はそうありたい。
バイクに乗り数分で目的地へ。

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焼き立てパンに朝のご挨拶。
最前列はお馴染みのアイコンだが、奥の方にいる知っているような知らないような顔に妙に癒された。
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ビルの屋上へ上がると晴れ渡る諏訪湖に迎えられる。
老舗喫茶店に行くつもりだったが、観光地と住宅地の狭間だったので駐車スペースの懸念とせっかく天気がいいのでこちらへ。
ここで朝食を摂ることにする。

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ソーセージのパンとキッシュ。美味しそうに見えた八ヶ岳高原牛乳とセットで頂こう。
日差しが強く、上着も全部脱いで背伸びをする。何組かやってきて、食べ終えるとすぐいなくなった。
急いで食事をするよりも、ゆっくり食事をすることの方が得意だ。
さて今日の予定は。スマホにメッセージが来ていた。

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Yちゃんは朝から長野県某所に立ち寄るため今から1時間後に着くとのこと。
おいおい、勘弁してくれよと思ったが、日本一周時の仲間に会える、ちょうどいいタイミングでキャンプに誘ってくれたのは彼女なので大人しく待とう。
幸いここは諏訪湖で、暑くもなく寒くもなく、暇をつぶすにはちょうど良く人間観察を楽しめそうなベンチがあった。
小一時間、長野に遅れて飛んで来た花粉に鼻を垂らしながらYちゃんの到着を待つ。

実は彼女とは昨年末顔を合わせていたので、再会の喜びは軽く。
インカムの接続に数十分汗を流しながら格闘。
ようやく成功し、会話しながら走る。国道沿いの道の駅で休憩がてら蕎麦を食べた。
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農道に移動し、またしばらく走る。
とあるお店を発見した。

インカムで「あ、ここ。調べてたんだけど入る?入っちゃう?」と聞くと「行こーで!」となり飯島町のケーキ屋へピットイン。
駐車場の景色が良く、Yちゃんが撮影していたので真似をして撮った。
ここ飯島町は中央アルプスと南アルプスの「二つのアルプスが見える町」がキャッチフレーズ。
連休のためか入口付近にご当地キャラがいてなかなか可愛らしかった。
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食べたのはマンゴークレープ。通常のミルクレープよりさっぱりしていて美味しかった。
珈琲は無料。
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いいちゃん。形態が変わるらしいけど、このままがかわいいので、それは無くてもいいと思う。

思いもよらぬ女子ツーリング感満載な記事に、ベテラン読者はたまげただろう。
スイーツを堪能し、キャンプ場は電波も入らず明日の朝も出発が早い。考えた結果、風呂に立ち寄ってから行くことにした。
飯田の山の麓にあるのは砂払温泉。内部は薄暗く、寂れた旅館で温泉のみ提供・・と思いきや宿も営業しているそうで。
風呂は意外にも綺麗な設備で、ゆっくり1時間ほど湯に浸かりながら、Yちゃんと「北海道でお風呂に入ったのを思い出すなぁ」と近況を語り合う。
旅館は昔は立派だった風情。なぜ飯田の山の麓に古い旅館が。しかも温泉が湧くような地形とは思えない。
調べると江戸時代より続く老舗で、今から向かうキャンプ場のある大平峠を越えてきた客を迎えたそう。
というわけで30分以上走り、電波の入らぬ大平峠着。

キャンプ場は舗装路から草むらを下った先で、歩いて覗いてみると結構な距離がありそうだった。
オフロードバイクのYちゃんは「先に行ってみるで」と言い先に行ってしまった。
振り返り、舗装路の上で置き去りにされたW650が暗闇で自動車にぶつけられる想像が駆け巡る。
「どうしよう、帰ろうかな」と苦慮したが、下には男が2人いるはずなのでヘルメットを被ったまま降りて行ってみた。
そこには3年前ねぶた祭りで知り合い帯広で一緒にスイーツ巡りをしたTさんと、北海道で一緒だった同級生旅人のRさんがいた。
「久しぶり!」と挨拶を交わし、早速バイク移動のお願いをすると、パーカーにサンダルで寛ぎモードのTさんから「念のため荷物を外してください。僕が乗って降りますよ」と頼もしいお言葉。
車もバイクも好きな彼には任せても大丈夫、と思ってお願いした。
何かあったら支えようとついて行ったが、瞬く間に下へ降りてしまった。
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Tさんは「大丈夫です。」と言い、なーんだ、降りれるのね。と安堵した私はYちゃんと競うように素早くテントを張った。
この日のためだけにテントを積んでいた。
Rさんが手伝ってくれる。
すでにテーブルを囲んでいる2人の隣にアウトドアチェアをセットするや、Tさんが「さぁ鍋を出して」とよそってくれたのはすき焼きとご飯。
しかもツーリングライダーとは相性の悪い、貴重品の卵を添えて!
Tさんは近県に住んでいるため自動車で来ていて、Rさんとともに料理も好きと来たもんだ。
女二人は何とも情けないが年下の器用な男、Tさんに甘えさせていただく。

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四方から食卓を囲み、暖かい鍋は具材に味が染みていてとても美味しかった。
食べ終わるとみるみるうちに辺りは暗くなり、火を起こすTさん。
薪になる木は明るいうちに周辺に集めてくれていたらしい。
彼は酒を手にしながら、慣れた様子で火を大きくしていく。
ある程度火が大きくなると、今度はかわるがわる四方から薪をくべていった。

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Wizard of fire T氏

本当にこういう作業は経験がものをいう。
某離島帰りのRさんから黒糖のお土産を頂き、私は手拭いをプレゼントした。
Tさんは数日後に世界一周の旅へ出るそうで、この3年の間に旧知の友のようになっていたYちゃんにエールを貰っていた。
火が小さくなっていくと格別に冷え込んできた。
木々の間から見える空には星があり、4人で小さくなっていく火を名残惜しく見送った。



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# by aroundjapan | 2019-07-14 23:33 | 2019 バイク旅 | Comments(3)  

夕焼けの色が本当の世界の色だとしたら

※公開順番が逆になっていました。

晴れ、風あり。
軽井沢のパンを食べて、今回ベースキャンプのようになっている上田を出発。
長野の定番ツーリングコース、霧ヶ峰を目指す。上田から南向きに走るのは初めてなので、まずは県道40号・諏訪白樺湖小諸線を走ることを決める。
地図上の何でもない交差点を目的地にして、そこからまた走り出す。


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5月の頭にライダーが頻繁に目にするもの、鯉のぼりだ。
毎年この時期が来るのが早い。
日本一周の時も5月頭に出発したので、鯉のぼりは強く印象に残っている。走るのにこれ以上ない、気持ちの良い季節だ。
白樺湖に新しく出来ていたローソンの人混みに驚いた。
久しぶり、かつ慣例に従って車山高原で羽を伸ばすことにした。
連休のため関東各地から集まったのであろう観光客が多い。

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いつもの山小屋カフェ。
最初に訪れたのは8年前、長野という地に憧れたのはこちらのカフェ兼山小屋の存在が何といっても大きい。
チーズケーキが濃厚で美味しい。
漫画に紹介されたようで客層が余計に増えていた。

食後は高原を歩くでもなく、景色を眺めるでもなく、バイクに乗りこむ。
周囲の喧騒も何も今は入って来ない。
バイクと2人になりたい。
何故だか今回はそういう気分なのだ。

その前に目の前にあるバイオトイレへ。

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バイオトイレは登山道などにあり名の通り水洗を使わず、排泄物を菌の力で処理するトイレだ。
図解が意味不明すぎて某ギャグ漫画を思い出す。図解の割に文字数が多い所とか、嫌いじゃない。

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車線に進入し、川崎からの旅バイクに続いて走ると、私の後ろにも同じように何台も連なった。
カーブをいくつも走り抜け、見知らぬバイク乗りたちと電車ごっこをしているみたいで面白くなる。
力を抜いて走りながら到着したのは道の駅美ヶ原高原。
人里離れた山の上にも関わらずツーリングやドライブの客でごった返していた。
標高が高く残雪もあるが、日差しもあったため見た目ほど寒くはなかった。
土産物を沢山購入し、家に送る。
ツーリングのたび長野経済に貢献している私だ。
元来た道を同じように降りて行く。

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霧の駅から南の道を進むのは初めてな気がする。
小諸方面を目指すと外車の大型バイクが続いた。マンホールの凹凸が激しく、気分が悪くなりそうなので速度を落とすと、バックミラーの中にすいすいと走ってくる彼らへ道を譲った。
二台行った先頭車両のヘルメットから馬の尻尾が出ているのを見たとき、「すごい」と声が出た。
夫婦だろうか。人馬一体、そのものだった。私もあんな風に、大きな車体を乗りこなしたい。きっと世界がまた違って見えるだろう。


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クラフトフェアをやっていた道の駅小淵沢。
3度目で、飽きずにまた来てしまった。
休憩がてら足湯に浸かり、作品を見ながら過ごした。陽が傾き始めている。

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あまりにも過去の記憶をなぞっていたため初めての場所に行ってみようと思い、30分ほど走ってツーリングマップ掲載の清泉寮でソフトクリーム。
途中、ルート選択を誤って、以前この道を初めて走った時“もう2度と走らない”と誓った八ヶ岳高原大橋を通過してしまい、帰路でも通るのかと戦慄したが違う道で帰ってこれた。
清里から小淵沢方面へ走ると、激しい縦溝で急な下り勾配の先が急カーブなのだ。転倒は免れたが、あの時はもう死んだと思った。
今回は登りのみ。どちらかと言うとラッキーだ。
しかし何故こんな道路を作るんだ?
バイクを運転した経験のある人が図面を引いているのだとしたら、間違いなく気が触れている。

営業時間の少し前に着いたので日も傾きかけていた。
ソフトクリームを食べるにはやや冷たすぎる風だったが、革ジャンが守ってくれる。
昼食を食べ損ねていたので、ベンチに座りまだ持っていたパンをかじった。
駐車場から1台も車がいなくなってしまったので、私も前へ進もう。

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平和なほうの道に沈む夕日。気温が下がってきているが、太陽の照らしている部分には温もりがあった。
ただでさえ瞳に映る美しい夕日に、ツーリングで来たというスパイスが加わると郷愁が込み上げてくる。
奥歯のさらに奥の方から、甘い空気が浸み出してきて、指先からは力が抜ける。
しっかりと地面につけているはずの足の裏は、全くもって現実味がなかった。
一言でいうなら、表現できないほど気持ちが良いのだ。いつまでも見ていたい。

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八ヶ岳、8年前に初めて走った時から、何度来ても大好きだ。
こんな景色に自分の子供や孫の世代も出会うことができるよう祈っている。


上田→R18→R142→K40→白樺湖→ころぼっくるひゅって→霧の駅→K460→道の駅美ヶ原高原→霧の駅→K424→R20→K197→K17(八ヶ岳エコーライン)→K484→道の駅こぶちさわ→レインボーライン→K28(八ヶ岳高原大橋)→ポールラッシュ通り(清泉寮)→K11(八ヶ岳高原ライン)→K484(八ヶ岳ズームライン)→八ヶ岳エコーライン→縄文の道→R152→土手道→亜熱帯



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# by aroundjapan | 2019-07-07 20:53 | 2019 バイク旅 | Comments(1)  

Be Here Now

ネットカフェの無料モーニングが食べ放題になった店舗が多いようだ。
揚げ立てのポテトと食パンを頬張る。
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予報通りすっきりとした晴れ、風あり。今日は走る日だ。
榛名からスタートするために麓の前橋で夜を明かした。
今回も榛名へは県道15号を走ることにした。
前橋から山にまっすぐ近づいていく。
標高が高くなるにつれて気持ちの昂りも抑えられないものとなる。

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伊香保温泉を横目に通り過ぎ、榛名山ロープウェイ乗り場へ来た。
榛名湖の横にちょこんと榛名富士という名の表す通り形のきれいな山があり、その山頂へ至るための経路だ。
あの上へはまだ行ったことがない。

天気が良くなったので、駐車場で隣に停まっていた自動車の運転手を真似て車体を拭いてみる。ここまで何にも構わず走ってきたので、フェンダーから何から酷く汚れていた。
榛名を心行くまで走る。北へ降りて行くと国道に出た。九州から遠いこの地は新鮮で、初めて走るような気がしたが、前後の地理関係から見るに過去に走った道路だろう。
忘れやすい頭は、時に軽快でもある。

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何度目か最早わからない、八ッ場ダムの道の駅にて群馬名物・焼きまんじゅうの食わず嫌いを克服。
全然期待していなかったから今まで食べたことがなかったのだが、疲れていたのか、甘辛い味噌味が意外にもかなりイケた。
連休の関東は今日から晴れる予報だったが、本当に天気が良い。
どんどん前へ進もう。


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R292で草津から山を登る。
この先には日本国道最高地点、渋峠があるのだが現在は白根山の火山活動による有毒ガス警戒のため、群馬側は標高1500m程の殺生河原駐車場で折り返しを余儀なくされる。草津温泉街と比較するとほとんど標高は上がっていないはずだが、それでも残雪が多い。
強風を遮るものがなく、しばし歩き回ってから退散する。

体が冷えてしまったので、草津にて無料の公衆浴場へ。
勝手知ったる前回と同じ場所に来た。そうでないと草津の街中は道が狭く勾配がきついため、オートバイの私は、前にも後ろにも進めず立ち往生してしまいかねない。
勇んで入ったはいいが、湯舟には湯が全然たまっておらず、居合わせた観光客と 足湯と変わりませんね。なんて笑う。

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草津から少々下り、嬬恋パノラマライン。前回初めて走ってから気に入ってしまった。
前回は夕方でルートも良くわからなかったため、出る場所出る場所で開けた景色に感動して写真を撮った。
今回は時間もあるので北側から「つまごいパノラマライン」の標識に沿って走る。
雑誌に載るような著名なドライブルート・ツーリングルートには観光客も多いものだが、ここはほとんど車やバイクとすれ違うことがない。
世俗を離れた理想郷だ。

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山が近い。空が近い。道路が近い。
全てに包み込まれていて、グローブをした手を差し伸べると、そのどれにも触れそうな場所にいる。
口を開くと、土地の空気を吸い込める。
それだけでもう、生きている実感が得られた。


昼食を逃していたが、近隣に食事する店も思い浮かばない。
いや、一つだけあった。前回の記憶を頼りに浅間牧場茶屋で食べることにした。
周囲の別荘地域はナビを入れても迷ってしまう。
前回は店員しかいない店で、ストーブにあたりながらソフトクリームを食べた。
連休の施設は子供連れの家族でいっぱいで、動物と触れ合えるコーナーも充実していた。

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全国のふれあいコーナーにいる、周囲の状況を読まないウサギを見るのが好きだ。
彼らは大抵、隅にできた日陰の中に耳を畳んでめんどくさそうに丸まって目を細めている。

2階のレストランで丼ぶり飯を注文したが、客でごった返していたため長い時間待たされた。
味も普通だったが、特別なものは求めていないため別に構わない。
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毎回同じじゃつまらないと感じるのだが、なぜ何度も同じ場所に足を運んでしまうのだろうか。
つまらない土産物屋も、誰もいない街灯のない道も、依然と同じままだった。無事を確認するように様子を見て回った。
浅間記念館から浅間山を望む。
この辺でキャンプするのも気持ちがよさそうだなと思うが、キャンプ場は満員御礼。
私の求めるような場所ではなかった。
日が暮れる前に小諸へ立ち寄りたかったので、軽井沢観光は諦めた。
国道146号から降りてきて、せめてパンを買う。

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今回の旅、白馬や草津や軽井沢では桜がまだ満開。
これから一気に夏へ向かっていくのだろう。冬が長く、春はほんのひと時らしい。

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前回気に入った丸山珈琲小諸店。
なんと午前中にケーキ類は売切れたということで、以前より人気が出ているようだった。
店の珈琲豆は1年ほど前から輸入食品などを取り扱うスーパーで、地元でも購入できるようになったのだが店舗自体を気に入ってしまい再訪するのが目的だった。
今日は天気が良かったので浅間山を眺めながらカフェタイムという希望が叶った。
連休は令和2日目を迎えていて、ちょうど折り返し地点だった。
ここまで来てみると十日間の休みなんて予想以上に速い。
それだけ毎日が充実しているということだ。今が最高に幸せで、同時に出てくる寂しさを冷め始めた珈琲で飲み込んだ。

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アナログな照明を灯しているバイクのメーター越しに、夕暮れを眺めると先程と同じ気持ちになる。
太陽の火が消え鎮まり冷えていく山の空気と、バイクの与える振動・エンジンの温度は、旅の真っただ中にある幸福と、寂しさ。
それそのものの様で、呼吸する度身体から力が抜けていく感覚がする。
毎度感じることだが、この一時的な感傷がバイクで旅することの醍醐味で、気持ちが良いんだ。
20歳から始めて10余年。あと何度、こうした旅ができるのだろう。

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風呂上がりに、千曲川沿いに灯る街明かりを眺めた。



K15→K30→榛名湖→K28→R145→草津 殺生ヶ原→地蔵の湯→ガソリンスタンド→つまごいパノラマライン→K235→浅間牧場茶屋→鬼押しハイウェイ(六里ヶ原休憩所)→R146→千住博美術館(浅野屋)→R18→浅間サンライン→?→湯楽里→上田ネットカフェ



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# by aroundjapan | 2019-06-30 15:13 | 2019 バイク旅 | Comments(2)